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2015年04月24日19:35

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真っ黒でしかない幻のサスペンス映画 『白と黒』

これまでに1度もソフト化されておらず、幻と言われてきたサスペンス映画『白と黒』を見ることができました。
日本映画専門チャンネルの仲代達也特集の1作品として放送されたものです。
(横溝正史の同名小説の映画化ではありません)

1963(昭和38)年の東宝映画作品です。これは面白い映画でした。


【物語】
都内の閑静な住宅街で殺人事件が発生。ある著名な弁護士の妻が絞殺されるというものだった。
強盗容疑で、前科のある容疑者・脇田(井川比佐志)が逮捕され、検事の落合(小林桂樹)が取り調べを行うが、脇田は強盗には入ったものの殺人は犯していないという。しかし取り調べから数日後、突然に殺人容疑を認める供述を始めた。
一方、被害者と深い関係にあった弁護士の浜野(仲代達也)は、ある不審な行動をとり始める。


…橋本忍のオリジナル脚本を、職人・堀川弘通監督で映画化したもの。

検事といっても団地に住み、満員電車に揺られて出勤し、痔に悩むという庶民的なキャラクターを小林桂樹が好演しています。岡本喜八監督の傑作『江分利満氏の優雅な生活』にも共通するキャラクターで、こういう役をやらせたらハマリ役です。

対する仲代達也の弁護士は、終始何かに怯えていて、何を考えているかが分からない役(理由はあるのですが)。こちらもまた、適材適所なハマリ役でした。

着々と捜査を進める刑事に西村晃。
小林桂樹の検事の上司である刑事部長役に小沢栄太郎。
小林桂樹の妻役で乙羽信子。
これ以上望めないというほどのベテラン揃いです。

その中に、どういう経緯で出演したか謎ですが、なんと作家の松本清張がTV番組の司会者役で登場しています。


映画は、人間のどす黒い部分をざっくりえぐって見せます。二転三転する驚愕の真実。今も昔もこういう映画を作ることは勇気のいることだと思います。

一貫して冷徹な視点でドライに描いているのでクセはないのですが、ラストシーンに背筋の凍りつくショットが挿入されるのが恐怖でした。

凄い映画です。★★★。

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