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2024年02月04日22:05

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本●「さよならの手口」

本●「さよならの手口」(文春文庫)
若竹七海・著

少し前に読み終えた「日本ハードボイルド全集7 傑作選」で紹介されていた作家のひとり、若竹七海の一冊。
女探偵・葉村晶が病院で知りあったかつての大女優から、20年前に行方不明となったひとり娘の調査を依頼される。
調べていくと、当時、娘の行方を追っていた私立探偵も失踪していた・・・・

数日前からぽつぽつと読みはじめ、本日一気読み。
ヒロインの葉村晶はすでに四十代、若くもなければ腕っぷしはまるでだめ、取り柄といえば何があってもめげないしつこさと長年の探偵稼業で身につけた勘だけか。
そんな彼女が、行く先々で不運な出来事に巻き込まれ、鼻血やたんこぶは序の口で、肋骨や小指の骨折という文字通り満身創痍になりながら、事件の真相にせまっていく。
これは面白かった。
東京といっても、調布や仙川といった、舞台の大半が小田急や京王線沿線なのが良い。
新宿や渋谷といった繁華街が「TOKYO」なら、こういう住宅地と商店街がごちゃごちゃと入り組み、いっぽうで思いのほか緑に恵まれたところに、ほんとうの「東京」があるとおもう。
ハードボイルド小説らしい、主人公の減らず口に笑ってしまう。
錯綜する人物関係もハードボイルドらしいが、こんがらがることもなく明快で、とても読みやすい。
巻末の解説によると、このシリーズはヒロインの葉村晶がまだ若い頃から始まっているという。「新宿警察」シリーズを抱えているのに、またひとつ読みたいシリーズが増えてしまった。



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