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2024年03月02日01:19

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鴎外がバレないように風刺を書いたら今でもバレてない?

近代日本の言論規制をかいくぐるため、森鴎外は「舞姫」に「ちょっとした仕掛け」を入れました。
おかげで「政治風刺を書いてる」ことが「政府側の権力者たち」にバレませんでした。
そしたら、令和になった今でも「バレてない」ってんだから、スゴくないですか?

「舞姫」という作品は、明治期に発表されましたが、「明治の日本」が舞台ではありません。
実際は「明治のベルリン」すなわち「1880年代ごろのベルリン」が作品舞台です。
ところで。ほとんど海外旅行もできなかった「明治の日本人」が、ベルリンの実際を知ってたんですか?
今の現代なら、海外旅行も簡単ですけど、「百年以上も前のベルリン」に行くことができますか?
ほんのちょっと「冷静」になって考えれば、簡単にわかることじゃないですか?
当時の読者も、今の読者も、作品舞台「鴎外が留学したころのベルリン」を「知らない」でしょう?

「知らない」くせに知ったかぶって「鴎外は現実を書いてるんだ」と言ってるなんて!
だから「こういうのは架空世界として読めばいい」んです。

1990年代の日本では「中世ヨーロッパ風の架空王国ファンタジー」が流行しました。
要するに、「中世」という「時間的隔離」と、「ヨーロッパ」という「距離的隔離」の合わせワザ。
しかし日本の「昔話」では、書き出しが「昔むかし」で「時間的隔離」の架空世界です。
だけど西欧では「遠い海の向こう」という「距離的隔離」の架空世界が一般的。
そして鴎外は、ベルリン留学でドイツ文学を学んできてるんですよ?
このぐらいの「初歩的な相違点」は気づいたでしょうし、だから「仕掛けた」んじゃないですか?
明治の日本人にとって「ベルリン」は「遠い海の向こうの異国」で、「ガリバー旅行記」の「ラピュタ」と一緒!

「架空世界」で「風刺」なら、「どんな世界なのか」を理解すれば、あとはストレートです。
すると、当時の「ベルリン」はプロイセン帝国の首都です。
そしたら、プロイセン帝国が「自他ともに認める専制君主国家」だと、知ってますか?
必要な「知識」は、たったこれだけ。
つまり「舞姫」は、「立憲君主国家」大日本帝国の男性と、「専制君主国家」プロイセン帝国の女性の話。

今の「国語の授業」では、「舞姫」を読んだ生徒たちに議論をさせるんだそうです。
たいていは男子生徒が口火を切って「主人公・男性」を擁護する意見で始まるんだと。
そのうちに女子生徒が「恋人・女性」の共感を言い出すんだと。
すると議論が活発化して、「価値観の多様性を学ぶ」んだそうな。

でも、主人公と恋人の価値観の相違、思考や行動の相違は、何が起因してるんですかね?
男と女、性差による相違?
日本人とドイツ人、文化による相違?
立憲君主国家と専制君主国家、政治体制の環境による相違?

わかってます?「風刺」とは「社会の風潮を書くもの」ですよ?
しかも「言論規制を気にする」なら、「政治風刺」ってことですよね?
そうすると「舞姫」には、ちゃっかりと「政治」要素が入ってませんか?
そして「言論規制」とは、「他国の批判を許さないもの」なんですか?
それとも「自国の政治、体制の批判を許さないもの」ですか?

そして、もう一つ重要な点があります。
何も知らない「今の生徒たち」は「専制君主国家のほう」に共感するんでしょう?
どうして?
これがどういうことなのか、「意味」がわかりますか?

だって作品の中では立憲君主国家よりも、専制君主国家のほうが、まだしも「自由」だと感じませんか?

残念ながら「近代の文学者たち」は、自由主義も、民主主義も、経験したことがないんですよ?
だけど、まがりなりにも「自由主義」で育ってきた「今の生徒たち」は、敏感に感じてるみたいですね?
「作中では女性のほうが、いくらか自由だ」ってことに!
ただし「自分の感じとったもの」が「何」であるのかを「理解してない」んです。
せっかく「正しい感覚で得たもの」を、ムダな議論をさせて、壊してるだけじゃん!

明治の「自由民権運動」は、やがて、つぶれていきました。
そういう時代に「舞姫」は、「専制君主国家なのに、日本よりかは自由なの?」と書いてるんです。
それを理解した人もいたでしょうが、口をつぐんでたでしょうね。ヤバいもん!
そうすると、理解しない者のほうが、大きな声で、平気で「誤読」を語るんです。
「異国の女は、しょうがねえな。日本男児の使命を理解できないんだから」と、差別意識も丸出しで。
もちろん「今」の時代は、外国人差別、女性差別、「授業」で言えるわけもないですよね?
だから「価値観の相違」とか「多様性」とかって言葉で、ごまかしてるだけじゃん!
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