全日本プロレスとの興行戦争ですが、全日本プロレスは新日本プロレス「MSGシリーズ」開幕戦と同日の4月21日、後楽園ホールで「エキサイト・シリーズ」を開幕させました。
前半戦には次期NWA世界ヘビー級王者の最有力候補と言われた「狂乱の貴公子」リック・フレアーが全日本プロレス初参戦、シリーズフル参戦がディック・マードック、ネルソン・ロイヤル、アル・マドリル、ドン・ケント、ジノ・ヘルナンデス、後半戦には元NWA世界ヘビー級王者パット・オコーナーが特別参加。また外国人ヒールサイドとしてキム・ドクが全戦参加、大木金太郎が終盤戦特別参加。
アブドーラ・ザ・ブッチャー旋風が吹き荒れた「第6回チャンピオン・カーニバル」とは対象的に地味めの顔触れでした。
開幕戦の4月21日、後楽園ホールは1,600人発表と苦戦、新日本プロレスの蔵前国技館(観衆9,000人発表)での猪木vs坂口征二、藤波辰巳vs上田馬之助の2大カードに観客を奪われました。開幕戦でフレアーはドクと組んで馬場、鶴田組と対戦、1本目ドクとの2人がかりながら馬場からフォール勝ち、2本目も鶴田からリングアウト勝ちを奪い、1人で2本取ってストレート勝ちしています。
フレアーは4月27日、青森県野辺地町立体育館(テレビ収録、観衆4,000人超満員発表)で鶴田のUNヘビー級王座に挑戦、2−1で鶴田が6度目の防衛。
5月4日、茨城県鹿島市民体育館からオコーナーがフレアーに代わり参戦、5月6日、佐賀県鳥栖市体育館から大木が特別参加しています。
シリーズ最終戦の5月11日、大阪府立体育会館(テレビ収録、観衆4,600人発表)ではインターナショナル・タッグ王者チーム、大木&ドク組に馬場&鶴田組が挑戦。1本目は13分37秒、ドクが鶴田を体固め、2本目は4分43秒、鶴田がドクを片エビ固め、決勝の3本目は8分17秒、左膝を痛めた大木がダウン、戦闘不能状態となりリング内で10カウントを取られカウントアウト負け。馬場&鶴田組の師弟コンビが半年ぶりに王座奪回に成功しています。
同日のセミファイナルに行われたNWA世界ジュニア・ヘビー級選手権試合、王者ロイヤルにマドリルが挑戦したタイトル戦は31分41秒、マドリルのダイビング・ボディアタックを切り返したロイヤルが上になり体固めでフォール勝ち、王座防衛を果たしました。
それから2か月のオフを経て5月26日、後楽園ホールから「スーパー・パワー・シリーズ」が開幕、同シリーズ名は76年の最終シリーズとして一度だけ使用されていますが、この年から初夏(5〜6月)、あるいは晩夏(8〜9月)のシリーズ名として定着。
前77年まで国際プロレスのリングに上がっていた「流血大王」キラー・トーア・カマタが引き抜かれて全日本プロレスに初参戦、他にビル・ロビンソン、マリオ・ミラノ、アルビン・スミス、ドミンゴ・マラビラ(ラウル・カステロ)の外国人レスラーが参加。また、32歳でプロレスラー転向を宣言した百田義浩の代わりに原軍治がこのシリーズよりリングアナウンサーに就任しました。
シリーズ2週目の6月1日、秋田市立体育館(テレビ収録、観衆3,200人発表)でカマタの挑戦を受け、PWFヘビー級王座防衛戦を行った(60分1本勝負)馬場は、カマタの反則攻撃にカッとなり暴走、放送席のマイクロホンコードを使ってエプロンのカマタの首を絞め16分16秒に反則負け、PWFルールによりベルト移動、39回目の防衛に失敗し5年3か月君臨した初代王者の座から転落してしまいました。
6月9日、石川県羽咋(はくい)市体育館(テレビ収録、観衆4,200人満員発表)では馬場&鶴田組がロビンソン&ミラノ組を2−1で破り、先シリーズ奪回したインターナショナル・タッグ王者を初防衛。
カマタが第2代王者となったPWFヘビー級王座は6月12日、愛知県一宮市産業体育館(テレビ収録、観衆4,000人満員発表)でロビンソンが挑戦、共に初来日が国際プロレスの両外国人レスラー同士のタイトル戦は21分59秒、カマタの140kgの巨体を鮮やかなワンハンド・バックブリーカーに決めたロビンソンが体固めでフォール勝ちし、第3代王者になりました。
「エキサイト・シリーズ」開幕戦の4月21日は新日本プロレスの蔵前国技館とは会場規模の違いで比較には成らず、大阪府立体育会館は先攻が全日本プロレスの5月11日で4,600人発表、新日本プロレスは19日後の5月30日、「MSGシリーズ」優勝決定戦で7,000人発表と大差をつけての新日本の圧勝。
秋田は新日本プロレスが5月20日、キャパの大きい県立体育館で猪木vs藤波の師弟初対決を持って来ましたが3,000人、12日後の6月1日の全日本プロレスは堅実に市立体育館で開催し3,200人。200人差というのは水増し発表の版以内でありここは互角でしょう。
しかし、全日本プロレスはザ・ファンクス、ブッチャーがいなければ東京の大会場での興行開催が出来なかった時期で、タイトルマッチを地方開催にシフトしていっており、新日本プロレスの「MSGシリーズ」は開幕戦の4月21日蔵前国技館、4月24日愛知県体育館、5月4日那覇市奥武山体育館、5月11日福岡九電記念体育館、5月19日仙台・宮城県スポーツセンター、5月26日高松市民文化センター、5月30日大阪府立体育会館、6月1日日本武道館と札幌を除く5大都市で開催しており、客入りは上々、猪木がフルに公式戦に出場した3年ぶりの「春の本場所」であり、興行人気で全日本プロレスを大きく引き離したのは事実でした。
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