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2019年09月18日09:12

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日本林業のあり方(その3)

第1章 問題だらけの日本林業(その3)
第2節 間伐の量も質も問題


森林を将来につなぐには、伐採のルール整備と並んで、適正に間伐が行われていることが重要な要件である。しかし、これも問題だらけである。

人工林は40〜50生前後までは木の間隔が狭いうえ、枝も短い間隔で張っていることから、間伐してもすぐに暗くなってしまう。このため、最低でも10年に一度のローテーションで間伐をする必要がある。つまり、年間にどの程度間伐しなければならないかは、森林面積から自ずと導き出せる。
これを日本の森林にあてはめると、人工林は1040万ヘクタールだから、年間に間伐すべき面積は100万ヘクタールになる。このうち、このうち、もっとも間伐が必要となる20年生から50年生の林分は700万ヘクタールなので、間伐の緊急性の高い森林面積は70万ヘクタールということになる。
ところが、間伐面積は、長年にわたり30万〜40万ヘクタール前後とこれを大幅に下回る面積で推移してきた。
間伐の最大の担い手である森林組合が一般民有林の間伐を行う場合、新規顧客開拓をほとんど行わず、過去に施行したことのある所有者の森林の間伐を繰り返しやるのが通常だからである。このため、間伐が繰り返される森林がある一方で、手つかずの森林はいつまでも手つかずのままであり続ける。

間伐の問題は面積という量が不十分なだけにとどまらない。適切に間伐がなされているかという質の面でも多くの課題を抱えている。
間伐の目的は、目標とする森づくりのためである。林分の状況に合わせた施業が行われなければならない。ところが目標を念頭に置いた施業がなされることはまれで、大部分は補助金の規定に従って機械的に間伐されているだけだ。この結果、間伐しても林内が薄暗く、その効果が希薄だったり、反対に切りすぎて、すかすかになっていることは日常茶飯である。
また、利用間伐の場合、いい木ばかり刈ったり、必要以上に刈ったり、残った木が傷だらけになっていることも珍しくない。これでは長期的な成長はできないし、収穫量は減り、材の質も大幅に劣ってしまう。経営上も森林の多面的機能の面からも大きなマイナスになってしまう。
最近の流行りは、列状に機械的に伐採する列状間伐である。この場合、いい木も悪い木も刈ることになるため、列状間伐が適応できるのは、比較的立木本数が多く、混んだ若い林分などの条件とところであるべきである。ところが、現実には、林分にかかわりなく、列状で間伐される例が至るところで起こっている。
このような施業の問題は、国有林や地方公共団体が所有する公有林、県が運営する林業公社、独立行政法人である旧緑資源機構や森林組合すべてに共通である。

施業が適切に行われている例は、所有者自らが森林の管理を行い、そこで生計を立てている森林か、所有者が直接経営に関与しない場合でも、数十年にわたり継続して同じ方針の下で管理している責任者がいる森林に限られる。たとえば、前者については、三重県の速水林業や北海道の石井林業などが代表例である。後者の事例としては、鹿児島県の藤川山林(今治造船所有)や長崎県の鍋島家山林などがある。


岩井國臣の注:施業が適切に行われている例は、上記の他に、住友林業の例があるかと思われます。住友林業では次のように言っておられます。
住友林業グループは、約46,000ヘクタールの社有林でSGEC森林認証(2003年に一般社団法人「緑の循環」認証会議にて設立された森林認証制度)を取得し、持続可能な森林経営を実践すると同時に、各事業分野において国産材を積極的に活用し、国内林業の活性化に貢献していきます。
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