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2019年09月14日08:46

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日本林業のあり方(その2)

第1章 問題だらけの日本林業(その2)

第1節 皆伐の広がりと伐採に関わるルール不備


せっかく苦労して育てた森林を皆伐してしまっては、また振り出しに戻ってしまう。現実には、九州などを中心に大面積で皆伐し、その後に何も植林しないで放置する再造林放棄が拡大している。

注1:「再造林放棄地をめぐる諸問題」という高知大学農学部森林科学科 教授 川田 勲の論文(平成16年度森林総合研究所四国支所研究発表会要旨集)がある。
http://www.ffpri-skk.affrc.go.jp/happyo16/h16page8.pdf

その論文には次のように述べられている。すなわち、

『 木材生産と植林等、森林資源循環の持続的展開は流域林業ひいては日本の森林・林業の発展を考える上でとりわけ重要である。しかし林業不振下で木材価格の低迷、林業経営意欲の喪失、伐採跡地の放置など、林業経営の放棄が進むなど林業は大きな危機を迎えている。』

『 全国的に伐採跡地放置化が問題となり林野庁は平成11年に現況調査をし、それらを受けて森林法の改正で伐採届け時に造林計画を提出するなど造林放棄防止を指導してきたが、依然と進む放置化・・・』・・・と。

注2:注1の論文は高知県に焦点を当てた論文であるが、再造林抛棄はどうも全国的な問題らしい。


中には、ダムのすぐ上流で皆伐がなされることもあり、無秩序状態である。

森林を将来につなぐには、皆伐を回避することが不可欠で、そのためのルール作りが急がれる。そもそも、木材生産に関するルールは森林法の根幹をなすものだ。欧州ではいずれの国も、森林が森林として維持されるルールが整備されている。

ルールの基本は、伐採は、それが主伐(植林した木を最終的に伐採し、次の世代に引き継ぐこと)であれば、その後に後継樹を育て、次世代につなげる更新をきちんと担保することである。間伐であれば、それが長期的に森づくりのつながるような施業でなければならない。これは欧州では当たり前の最低限守るべき事項である。

したがって、いずれの国においても主伐については更新を義務づけており、更新を行わないことは「森林破壊」とされ、固く禁じられている。ちなみに、主伐は北欧では、更新伐(regeneration felling)と呼んでいるが、このことは主伐と同時に更新のための行為であることを表している。欧州の基準に照らし合わせれば、大面積皆伐とその後に何も植林しないで放置する再造林放棄は、「森林破壊」であり、違法伐採そのものである。




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