習近平の思想と知恵(その11)
メキシコの発展・・・ラテンアメリカ諸国との協力と相互信頼を強化する
2013年6月、メキシコ上院における講話
中国には「路遥知馬力、日久見人心」という言い習わしがある。中国とラテンアメリカの関係の発展は、双方の関係の発展が開放的・包容的・協力的・共栄的発展であることをすでに証明しており、また引き続き証明するであろう。
「習近平の思想と知恵」(2018年4月、科学出版社東京株式会社)では、次のように述べている。
「路遥知馬力、日久見人心」とよく言われるが、大意は「道遠ければ馬の優劣がわかり、長くつき合えば人の心の善し悪しがわかる」ということである。
習近平は当時この言葉を引用して、中国とラテンアメリカの関係は開放的・包容的・協力的・共栄的発展であり、双方が互いに信頼し、コミュニケーションを図り、発展を模索すれば、時がたつにつれ互いの信頼はさらに深まるであろうことを伝えようとした。
当時、多くのラテンアメリカ諸国が中国との関係を発展させたいと望んでいたが、なお、アメリカの目を気にしないわけにはいかなかった。アメリカの締め付けが緩むと、中国との国交樹立が加速する。目下、中国はすでにラテンアメリカの21カ国と外交関係がある。また、現在台湾と「国交」がある20カ国あまりの中では、ラテンアメリカの国々が半数近くを占めている。
ラテンアメリカ諸国は一般的に面できが狭く、人口は少なく、国力は弱く、しかも長期にわたってアメリカの圧力に晒されていたため、経済発展の願いのほかに自主独立を渇望していた。習近平が「路遥知馬力、日久見人心」という言葉を引用して中国とラテンアメリカの関係を明確に表明したその中には、目先に捉われない、長期的戦略的視野も含まれている。我々が提起する協力発展方式は単純な経済貿易交流ではなく、経済から文化・衛生・スポーツに至る全面的かつ多層的な協力モデルであり、それこそがラテンアメリカ諸国にとって最も重要なのである。
中国とラテンアメリカ諸国はともに発展途上国である。双方は多層的な交流を通じて互いに助け合い信頼し合うメカニズムを構築し、両国人民の真の福祉を希求することができる。
「路遥知馬力、日久見人心」にはその意味も含まれているのである。
「習近平の思想と知恵」(2018年4月、科学出版社東京株式会社)の記述は以上であるが、メキシコの発展は、中国とラテンアメリカ諸国のみならず、日本にとっても極めて大事である。
日本とメキシコの交流は江戸時代に遡る。1609年、メキシコのロドリゴ・デ・ビベロ・フィリピン総督代理が台風のため千葉県御宿に漂着。漁民たちは寝食を忘れて献身的に救助にあたった。徳川家康はビベロの帰国のため、三浦按針に造らせた船を提供。翌1610年にビベロを乗せた日本船は太平洋を渡り、無事にメキシコに帰還した。この交流の始まりを記念し、400年後の2009年は、特に、我が国におけるメキシコ紹介、翌2010年には、メキシコにおける日本紹介に重きを置いて、更なる交流につなげようというのが、日本とメキシコの交流400周年事業である。
現在のメキシコは、世界14位のGDPを有する国で、1992年にはNAFTA締結、93年APEC加盟、94年OECD加盟と、着実に先進国への仲間入りを始めている。G8サミットなどの主要先進国の国際会議においても、メキシコはアウトリーチ会合(拡大会合)の常連の参加国であり、国際社会における存在感を増している。
このようなことから、日本は、メキシコの国際的地位を考え、さらに交流の歴史を考えるならば、今後さらに力強くメキシコの経済発展を支援し、メキシコ人の格差問題を解決するよう努めなければならない。メキシコ人の格差はひどく、麻薬の問題やアメリカへの不
法移民の問題が発生している。このような深刻な問題をメキシコは抱えているので、日本と中国がメキシコの経済発展を支援し、さらにさまざまな交流を深め、メキシコ人の人材が少しでも増えていけば、メキシコは立派な国になっていくに違いない。
日本は中国とともに、メキシコの発展を力強く支援したいものだ。
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