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2016年05月20日09:31

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山地拠点都市構想(その148)

山地拠点都市構想(その148)

第6章 山地拠点都市構想の実現に向けて(24)
第4節 「美しい都市」を目指して(3)
1、山の生態系の復活(2)

本来の森林とは人工林でなく、伐採後も天然更新でなければならない。植林をしてはならないのだ。 問題は伐採の費 用とその費用負担の問題だが、私は、現在の間伐に対する助成制度をも とに若干の見直しをすれば良いのではないかと考えている。
なお、念のため言っておくと、奥山林業のあり方としては、天然更新が原則で手入れはしないのである。管理費が要らないということだ。木が大きくなってくる と、もちろ ん用材としての価値が出てくるので、一山いくらで買いにくる人が出てくる。そのときに 売れば良いのである。要するに、奥山は財産として持ってい て、買い手がついたときに 売れば良いのである。四手井さんの考えによれば、それが本来の奥山林業であって、低林林業とはそもそも考え方が違うべきなのである。もちろん低林林業も、人工更新を行わ ず、萌芽更新を原則とする。したがって、奥山林業も低林林業も、現在のスギやヒノキの 人工林を、択伐を進めながら逐次広葉樹との混合林に切り替えていく訳だが、伐採後の人工植林という考えを捨てなければならない。そうでないと森林生態系は本来のものに戻らない。山は良くならない。それが四手井さんの考え方だ。 森林生態系の問題について、エコロジカルネットワークという考え方があるので、次ぎに これに触れておきたい。

ヨーロッパでは野生生物の生息空間をネットワークで結んでいこうという動きが活発で ある。一九九二年のハビタット指令というのがある。ハビタット指令にもとづ き、加盟 国十五カ国がヨーロッパとして一つの考え方に基づいて野生生物の価値の高い生息空間と いうものをそれぞれ法的に保護していこうという大きな運動が 進んでいる。民間組織においても、Eエコネット、ヨーロッパ・エコロジカルネットワーク構想というのがあるよう で、これが大変大きなうねりになっているようである。

一 九九二年の地球サミット、そしてそのとき決められましたアジェンダ21。そして先ほ どの生物多様性条約。そういった一連の動きを見るまでもなく、これからの時代という
ものは自然再認識の時代である、そういうしっかりした認識に立って、生態系保護にかか わる国民的な運動を今後展開していかなければならない。 私たち日本人もヨーロッパの 人々に負けないように、自然に対するしっかりした認識の上に立って、環境先進国の仲間 入りをしていかなければならぬ。

平成七年十一月に、財団法人日本生態系協会主催の、「生態系の危機、挑戦と課題」とい うテーマでエコロジカルネットワー ク・シンポジウムが開かれた。
シンポジウムにおいては、日本生態系協会の池谷奉文会長が、我が国の生態系がどういう 危機的状況にあるのか、縷々、話された。
そして、そのシンポジウムにいては、オランダのグラハム・ベネットさんという方とドイ ツからはヨーゼフ・プラープさんという方が、ヨーロッパにおけるエコネット発展の経緯 と現状、そして実践上の課題という講演をされ、私たちは大きな刺激を受けたのである。 爾来、財団法人日本生態系協会は日本にも「エコロジーネットワーク」をつくりたいと旗 を振っておられるが、今のところあまりうまくいっていない。私は、是非、「エコロジー ネットワーク」の実現を図りたいと思っている。
その際、私としては、「エコロジーネットワーク」を進める中で、狼や熊などの大型動物 の棲息しうる古代の自然環境に少しでも近づけたい。そして狼や熊との共生を図りたいと は思っているが、これはなかなか難しい問題かもしれない。 狼については「日本オオカミ協会」という立派な組織があって、狼の放獣を目指しておら れるが、はたしてどうなるやら。今後の成り行きが注目される。 米田一彦さんをはじめ熊の研究者は少なくないが、熊の被害は依然として後を絶たず、大 きな社会問題になっている。したがって、民主党では、「ヒトとクマの共生プラン」とい うものを策定しておられるのでここに紹介しておきたい。
http://www.murai.tv/jisseki/2006/kuma.pdf

なお、ここでは、北海道の丸瀬布というところで、熊の研究と狼の研究をやっている私の 息子・岩井基樹を紹介すると同時に、オオカミの放獣に対する彼の意見を紹介しておきた い。彼はオオカミの放獣には反対なのである。
http://www.us-k.net/wildlife_brownbear/10essay.html


以上のように、山の生態系を回復することはたいへん難しいようだ。本来、奥山の生態系 が良くなってはじめて山地拠点都市が美しく輝いてくるのだが、それは当面諦めざるを得 ない。クマは、人間側が十分注意すれば、被害を受けずに済む。したがって、私として
は、奥山の改修という問題については、「切り捨て間伐」をなくすことに重点を置いてゆ くこととしたい。






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