FMWは98年に日本に進出してきたディレクTVと契約、3年間3億円で契約、冬木弘道が主導権を握りエンターテインメント路線を敷き、タレント、歌手など素人を登場人物としてリングに上げることになってしまいます。
FMWの標榜するエンターテインメント路線は杉作J太郎がブレーンに加わって主に構成を考えていただけあって、アダルト、下品、お下劣路線。ちょうど世界最大のプロレス団体WWFが「アティテュード路線」に切り替わり、ビンス・マクマホンのマクマホン一家による不倫、下ネタ的なストーリーラインによる映像を使ったプロレスを展開している時期で反体制派の「ガラガラ蛇」”ストーンコールド”・スティーブ・オースチンというダーティヒーローが誕生。
映像を使ったドラマ仕立てのアングルは「ソープオペラ」(いわゆる「昼メロ」、昼メロの提供を石鹸会社がしていたことからこう呼ばれた)と言われ、一定数のファンからは嫌われましたが新しい層のPPV視聴者と観客を多数取り込むことに成功しました。
その焼き直しを日本でも、となったのでしょうが、日本のファンには馴染めず、結果としては失敗に終わりました。
99年6月15日後楽園ホールでハヤブサ&田中将斗&黒田哲広組vsミスター雁之助&金村ゆきひろ(キンタロー)&非道組のチーム・ノーリスペクトによる敗者ドッグフードマッチ(敗者はドッグフードを食べる)スクランブル・バンクハウスラダーマッチで行われ、負けたチーム・ノーリスペクトに代わり冬木コミッショナーがドッグフードを食べて口の中に入れましたが、ハヤブサの顔にドッグフードを吐き出して両チームが乱闘になって幕。
この大会の試合前、冬木コミッショナーは8月シリーズを「さよならハヤブサシリーズ」とし8月25日、閉館が決まっていた札幌中島体育センターでのファイナル興行を最後にハヤブサにマスクを脱ぐように命令「ハヤブサさよならマッチ」が行われることになりました。
ハヤブサさよならシリーズ開幕戦で8月20日に後楽園ホールで「お化け屋敷」と銘打った企画興行(試合会場にお化け屋敷をイメージした飾り付けがされていた)が行われ、荒井昌一社長が幽霊に扮してリッキー・フジを体固めで撃破。登場人物の一人である荒井社長の姪を名乗る荒井薫子も幽霊姿で登場しました。
8月25日札幌中島体育センターにおけるハヤブサラストマッチは雁之助との世界ブラスナックル選手権試合で、ファルコンアローからの体固めでハヤブサがフォール勝ちし有終の美を飾ったかに見えましたが試合後10カウントゴングのセレモニーの時に乱入してきた冬木コミッショナーがチェーンを巻き付けて身体の自由を奪い、ハヤブサのマスクを剥がし、コスチュームも脱がして、アンダータイツも取って全裸にしてしまいました。セコンドの荒井社長が身を呈してハヤブサの上に乗り、下半身にタオルを巻いて事なきを得ましたが、観客席からは怒号が渦巻いています。
下半身にタオルを巻いただけの姿になったハヤブサは新キャラクター「H」(エイチ)の登場を予告。8月27日旭川大成市民センター体育館大会からハヤブサは素顔のHとして登場。
9月16日「フラッシュオーバー」開幕戦の福井市体育館で何と雁之助が正体バレバレのハヤブサに変身、H(元ハヤブサ)とハヤブサ(雁之助)が対立するという構図になりました。
9月24日後楽園ホールでは試合前にチーム・ノーリスペクトに捕まえられた荒井社長が冬木コミッショナーから観客の前で尿を(勿論、偽物)浴びせられる放尿処刑に合う、というシーンがリング上で見られ、観客から見たら「ドン引き」の場面も。同日AV男優のチョコボール向井がプロレスラーとしてデビュー。
他にAV界からは若菜瀬奈が先に登場人物として登場、ガングロギャルの荒井薫子との抗争を展開していました。他、演歌歌手の谷本知美が「男の中の男」大矢剛功について登場していました。
10月29日後楽園ホール大会でHとハヤブサ(雁之助)による敗者肛門爆破マッチ(敗者は肛門にダイナマイトを着けて爆破させる、Hが江崎英治の新人時代に肛門に花火を突っ込み爆破させていたことからこの試合が考案された)が行われノーコンテストとなりましたが、Hはお約束通りリング上で肛門爆破に処せられてしまいました。
試合後Hとハヤブサ(雁之助)が私服姿で乱闘、観客とテレビ解説の杉作J太郎、週刊プロレスのフリーライター須山浩継までも巻き込まれてHはディレクTVの1,000万円相当の業務用ビデオカメラを叩き壊し、ついにガードマンが出てきて制止される羽目になるなど虚実ないまぜの迷走を展開していきます。ガードマンが仕込みだったかどうかは不明。プロレス的にはFMW側が用意したと考えるのが普通ですが、証拠がないから断言出来ません。
FMWが社運を賭けた11月23日横浜アリーナ大会「創立10周年記念興行」はドリー・ファンク・ジュニア&テリー・ファンクのザ・ファンクス、ショーン・マイケルズ(特別レフェリー)、ECWからボールズ・マホーニー、レイヴェン、トミー・ドリーマー、さらにウィリー・ウィリアムス、マリア・ホサカ、ジャズを招聘。
横アリ大会メインイベントはHとハヤブサ(雁之助)のシングルマッチ60分1本勝負、特別レフェリーはHBKことショーン、腰を痛めて試合はしていないですが軽快なフットワークを見せていきます。
レフェリーのショーンに執拗に反抗するハヤブサ(雁之助)にショーンはスイート・チン・ミュージック、ハヤブサ(雁之助)は途中で自らマスクを脱ぎ雁之助としての素顔でファイト、一緒に熊本からプロレスラーを目指してFMWに入門した生え抜きの江崎vs本田雅史の闘いとなり、ハイレベルなプロレスを見せ、最後はHがフェニックス・スプラッシュからの体固めでフォール勝ち。横アリ大会はハッピーエンドに終わりました。
観客は14,500人満員発表とされましたが、空席が目立ち、経費倒れに終わった興行でした。
00年3月、ディレクTVが業績不振のため、日本での事業続投を断念してスカイパーフェクト・コミュニケーションズへ事実上統合されました。FMWのPPVはスカパーに引き継がましれたが放映権料は大幅に下がって経営悪化は一気に拍車がかかった状況になっていきました。(この項目続く)
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