80年編の終わりに、猪木が翌81年にスタートさせる「IWGP」(インターナショナル・レスリング・グランプリ)構想について書いておきたいと思います。
12月13日、東京体育館大会のリング上で新日本プロレスの新間寿営業本部長は「来年は猪木が世界統一へ乗り出す」と初めて「IWGP構想」を口にしました。
統一日本選手権、格闘技世界一決定戦に次ぐライフワークとして掲げたのが世界マット界を統一するという壮大なプラン。12月25日付(24日発行)の東京スポーツにおいて、猪木が「NWA脱退」、「真の世界一タイトルの新設」について語っています。聞き手は桜井康雄記者。(一部を抜粋し引用)
(前略)桜井「1981年、新日本プロレスとしてはさらに実現を目指していると思うが、猪木さんが口ぐせにしている世界統一戦への具体的な動きは?」
猪木「当然、考えている。というより準備段階はもう終わっている。後は、GOだけです」
桜井「というとNWA世界タイトルに?」
猪木「NWA、NWAというが、私はNWA世界タイトルに挑戦する気はないし、そのNWAの価値も認めていない。まあ、私もNWAのメンバーだが、現状を見てみるとメンバーでいることも無意味。
アメリカの有力なプロモーター達、私の考え方に共鳴してくれる人々…アメリカだけではない、メキシコ、カナダ、ヨーロッパも含めてNWAを超える組織を旗揚げし、誰もが認める世界タイトルを争ってみたい」
桜井「NWAは脱退する?」
猪木「そうなるでしょうね…とにかく、プロレスブームと世間的に言われるようになり、ファンが熱いシビアな目でプロレスを見るようになっている。来年はもっと凄いブームを起こしてみせる、本当にこれはやります」(後略)
事実、翌81年にはIWGPが発足し、「IWGP参加」を表明した全日本プロレスのトップヒール外国人レスラーであるアブドーラ・ザ・ブッチャーが新日本プロレスへ移籍、次いでタイガー戸口も新日本へ。
これに怒った馬場が報復としてタイガー・ジェット・シンを引き抜き返し、新日本プロレスと全日本プロレスの仁義なき引き抜き抗争が勃発することになります。
81年にデビューすることになるタイガーマスクの活躍も相俟って、新日本プロレスは後半戦にブームを巻き起こすことに成功、9月23日、田園コロシアムに13,500発表人の大観衆を集めたのを契機に、10月8日&11月5日の蔵前国技館は其々13,000人発表の大観衆を動員、猪木はこの時のインタビューで公言した通り、「もっと凄いブーム」を実際に起こしている訳です。
この時のインタビューがIWGPを指すのか、それとも全日本プロレスからの引き抜きを指すのかはハッキリしませんが、12月11日、全日本プロレスの蔵前国技館大会に梶原一騎とユセフ・トルコが姿を現し、ブッチャーと共に入場して来たことを考えれば、全日本プロレス系のレスラーを引き抜く仕込みに既に入っていた可能性は大です。
12月29日(現地時間)、ニューヨークMSGのWWFの年度最終興行に新日本プロレス勢が出場しています。
猪木はボビー・ダンカンとNWFヘビー級選手権試合(60分1本勝負)を行い、ナックルパートでダンカンの額を割って流血させ、12分47秒、延髄斬り、ギロチン・ドロップと繋いで体固めでフォール勝ち、7度目の王座防衛に成功。
フロリダからWWF入りしたキラー・カーン(小沢正志)はMSG初登場でボブ・バックランドのWWFヘビー級王座挑戦に大抜擢されましたが(60分1本勝負)12分23秒、バックランドのジャーマン・スープレックスホールドの前に惜敗。
藤波辰巳は4月16日にフロリダ州マイアミビーチでNWAインターナショナル・ジュニア・ヘビー級王座を賭けて対戦したドン・ダイヤモンドとWWFジュニア・ヘビー級王座防衛戦(60分1本勝負)。4月に勝っているだけに余裕ある試合運びを見せ、10分28秒、ジャーマン・スープレックスホールドでフォール勝ちし、18度目の防衛を果たしました。
坂口征二はザ・サモアンズ2号(シカ・アノアイ)とシングルマッチ30分1本勝負で対戦、当初は坂口の持つWWF北米ヘビー級王座が賭けられる予定でしたが、サモアンズの2人があまりにダーティーな攻撃をする為、ニューヨーク州アスレチックコミッショナーならタイトルへの挑戦権を剥奪されたとの理由でノンタイトル戦に変更されました。
実際はWWF北米ヘビー級王座は前79年11月8日、小樽市総合博物館で坂口がパット・パターソンを破り獲得したものですが、実際はこれより前に北米ヘビー級王者だったパターソンがブラジルのリオ・デ・ジャネイロで行われたトーナメント(架空のトーナメント)に優勝、南米も制したとしてインターコンチネンタル王座に統合されており、WWFでは「すでに現存しないタイトル」にされているところから、坂口は北米ヘビー級王者と名乗れずノンタイトルになったもの。
試合はサモアンズ1号(アファ・アノアイ)が乱入して坂口を攻撃、坂口の救出に猪木が入って乱闘となり5分24秒、両者反則の引き分け。
10月23日に新日本プロレス入りした元アマレス幻のモスクワ五輪日本代表、谷津嘉章が日本人初のMSGでデビュー戦を行いました。藤波も対戦したカルロス・ホセ・エストラーダを相手に8分47秒、ワンダースープレックス(フロント・スープレックス)からの体固め降しました。
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