88年年頭を飾る「新春ジャイアント・シリーズ」は1月2、3日、恒例の後楽園ホール昼興行で開幕。前87年までの正月興行とはリング上の様相が大きく変わりました。
アブードラ・ザ・ブッチャー、TNT、ピート・ロバーツ、バディ・ランデル、ポール・ハリス、ブラック・アサシンの外国人選手がシリーズ全戦参加、序盤戦特別参加がAWA世界ヘビー級王者のカート・ヘニング。
シリーズを通しての主役は先の87年「創立満15周年記念世界最強タッグ決定リーグ戦」から2シリーズ連続参戦となるブッチャー。長州力達が新日本プロレスにUターンした見返りに新日本に引き抜かれたはいいものの、呼ばれなくなっていたブッチャー、ブルーザー・ブロディ、ジミー・スヌーカの3選手を出戻り参戦させましたが、馬場にとっては長州軍団より3人の外国人の方が遥かに魅力的だったでしょう。
特に72年の旗揚げイヤーから参戦し、全日本プロレスの主役だったブッチャーの帰還に対し馬場は「よく帰って来てくれた」と喜びを隠さなかったそうです。今シリーズは前回の最強タッグに初来日しパートナーに抜擢されたTNTとチームを組んで天龍&阿修羅・原組の龍原砲のPWF世界タッグ王座に挑戦、また、個人では鶴田のインターナショナル・ヘビー級王座に挑戦するなど単独エース扱い。輪島大士との抗争も注目、輪島の国内デビュー戦の相手を務めたタイガー・ジェット・シンよりもブッチャーの「間合いのプロレス」の方が試合のリズムは輪島には合っていると思います。
2シリーズ連続参戦のTNTは64年プエルトリコ出身の当時23歳。テコンドーの下地を活かしたペイントレスラーで85年にプエルトリコWWCでデビュー。87年にミスター・ポーゴと組んでマーク&クリスのヤングブラッド兄弟を破ってWWC世界タッグ王座を獲得。初来日の最強タッグではスピーディーな動きでブッチャーをフォロー、公式戦を11戦6勝5敗で勝ち越し、馬場に高く評価されて早くも再来日が決定。ブッチャーとのコンビで龍原砲のPWF世界タッグ王座奪取なるか!?
英国の魔豹ロバーツは41年イギリス出身の46歳。前87年4月の「創立15周年記念チャンピオン・カーニバル」以来9か月ぶり、全日本プロレスには3度目の来日、新日本プロレス時代から仲が良かったスタン・ハンセンの紹介で86年7月に全日本に移籍。前回の来日では87年4月5日、後楽園ホールで渕正信の世界ジュニア・ヘビー級王座に挑戦、渕のジャーマン・スープレックスホールドの前にフォール負け。今回は渕にリベンジの為に来日。
新日本プロレスではジュニア・ヘビー級というカテゴリーがない時代からレギュラー参戦しており、猪木、坂口征二、ストロング小林、藤波辰巳、長州、木戸修、タイガーマスクらを苦しめた実力者、本格派ランカシャースタイルレスリングの使い手だけに渕にとっては難敵です。
このシリーズも初来日、あるいは全日本プロレス初参加の外国人が3人参戦。初来日のバディ・ランデルは61年テネシー州出身の当時26歳。
フロリダのラリー(グレート)・マレンコ道場でトレーニングを受け、79年11月にデビュー、以降、若手のベビーフェイスとして各地のジョバーを経験しキャリアを積んだ後、リック・フレアーのスタイルをコピーした金髪のエゴイスト系ヒールに変身。
83年にはプエルトリコのカルロス・コロン主宰のWWCにてペドロ・モラレスから同地区の北米ヘビー級王座を奪取、テネシー州の米国版CWAではダッチ・マンテルやココ・ウェアとCWAミッドアメリカ・ヘビー級王座を巡って抗争を展開。
84年にはオクラホマ、ルイジアナを拠点としたビル・ワット主宰のMSWA(後の米国版UWF)に参戦、ジャンクヤード・ドッグ、ラニー・ポッフォとトップ争いをしていました。
85年3月、「にせフレアー」のギミックでNWAミッドアトランティック地区、クロケット・プロに登場。J・J・ディロンをマネージャーに迎え、自分こそが真の "ネイチャー・ボーイ" であると主張して本家フレアーと抗争を展開、6月から9月にかけて、フレアーのNWA世界ヘビー級王座に再三挑戦。
11月28日にはテリー・テイラーからNWAナショナル・ヘビー級王座を奪取、12月19日にダスティ・ローデスに敗れ短命王者に終わったものの、フレアー、ローデス、マグナムTA、ニキタ・コロフら同地区のトップクラスを相手にメインイベンターに成長、メジャーテリトリーでも通用する実績を築き上げました。
86年からはミッドアトランティック地区と古巣のCWAを股にかけて活躍、CWAではヒールターンしたビル・ダンディと組んで旧敵Dマンテル&ジェリー・ローラー組と抗争、アラバマ州のコンチネンタル・チャンピオンシップ・レスリングを経て今回待望の初来日が実現しました。
全日本プロレス初参戦となるポール・ハリスは50年イギリス出身の37歳、Pロバーツの弟子に当たり、ロバーツの紹介で85年5月、UWFの「格闘技オリンピア」にトム・タイロンのリングネームで初来日、今回もロバーツの紹介でリングネームをハリスに変えての3年ぶり2度目の来日となりました。平成に入ってからの92年2月にはナイジェル・タワーズとリングネームを変えて全日本プロレスに再来日しています。
初来日のブラック・アサシンは60年ジョージア州出身の27歳、84年にジョージアのブッカーをしていたオレイ・アンダーソンにスカウトされてプロレス入り、同地区でジョバーをしていた時にブッチャーと知り合い、同じ黒人レスラーということで目をかけられて今回ブッチャーの口利きで初来日が実現。実力的には未知数。
カートのプロフィール及び日本陣営、シリーズの見どころは次回お送りします。
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