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2024年01月02日21:57

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映画日記『青幻記 遠い日の母は美しく』

2024年1月2日(火)

『青幻記 遠い日の母は美しく』(1973)
監督:成島東一郎
日本映画専門チャンネル【録画】

幸せ薄い境遇の中を生きてきた母と息子の物語。
病弱だった母が30歳のとき、彼女は小学2年生の息子といっしょに、なにもかも捨てふるさとの沖永良部島に帰ってきた。
貧しい暮らしではあったが、そこには母と子ふたりっきりの濃密な時間が流れていた。
しかし、その幸せも長くは続かない。
ある日、母は打ち寄せる荒波に飲み込まれてしまう。
それから30年の月日が流れ、成長した息子は青い海と白い珊瑚礁に包まれた沖永良部島を訪れ、美しかった亡き母の姿を思い浮かべるのだった・・・・

高3か大学に入りたての頃だったのかな、キネマ旬報の紹介記事を読み、とても見たかったのだが、通っていた田舎の映画館にかかることはなかった。
50年ぶりに念願が叶った。
ひたすら「母恋し」と、亡き母を思慕するストレートな映画だ。
母が存命中だった若い頃より、今のほうが身にしみる。
見どころは『青幻記〜』のタイトル通り、沖永良部島の海と空の青さだ。
その青を、カメラが捉えていく。
こんなにも画面に青色が溢れる日本映画を初めて見た。
監督の成島東一郎は大島渚の『儀式』(1971)や『東京戦争戦後秘話〜』(1970)、篠田正浩の『心中天網島』(1969)、吉田喜重の『秋津温泉』(1962)といった作品を撮った名キャメラマン。
もちろん、本作でも監督だけでなく撮影も担当している。
もうひとつの見どころは母親を演じた賀来敦子(かくあつこ)。すばらしい。
彼女の凜とした姿を思い浮かべるだけで、胸があつくなる。
彼女は本作で第28回毎日映画コンクールで女優演技賞(=主演女優賞)を受賞したのち、女優をやめてしまう。
本作と、先にあげた『儀式』と堀川弘通の『白と黒』(1963)の3本だけを残し、幻の女優になってしまった。


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