mixiユーザー(id:6810959)

2023年11月06日22:02

41 view

映画日記『緋ぢりめん博徒』

10数年前のことだが、溝口健二の名作『祇園の姉妹』(1936)のタイトルにある「姉妹」の読みが、「しまい」ではなく「きょうだい」と知ってとても驚いた。

2023年11月6日(月)

『緋ぢりめん博徒』(1972)
監督:石井輝男
アマゾンプライム

ときは明治の初め、鬼百合のお勝(中村英子)は渡世の義理から恨みもつらみもない親分をひとり娘の目の前で斬ってしまう。
その罪で服役しているとき、お勝は男まさりの女侠客・江戸川のお秀(土田早苗)と出会う。
お秀の気っ風の良さに惚れたお勝は、女囚たちが見守るなか、たがいに腕を傷つけ、流れる血をすすりあう。親の血を引く姉妹よりも固いちぎりの義姉妹だ。
お勝は先に出所したお秀のもとへ。
ところが、いまは堅気の船荷仕事をしているお秀の一家は、悪徳やくざたちから狙われていた。
義姉妹のためにひと肌脱ぐお勝を、盲目の仕込み杖使い浜千鳥のお紋(藤浩子)や、粋でいなせな流れ星のお蘭(松平純子)が手助けする。
いっぽう、お勝によって父親を斬殺された娘は、その名をハイカラのお仲(池玲子)と名乗り、親の仇であるお勝を執拗につけ狙っていた・・・・

前から見たかった石井輝男監督映画。
原案が団鬼六ということもあり、エロも手抜かりなし。
ただ、盲目の仕込み杖使いやヒロインを親の仇とつけ狙う娘といった設定のせいか、大傑作だった『怪談昇り竜』(1970)の二番煎じのような気がしてならない。
まあ、目くじらを立てることでもないが。
二番煎じではないが、随所に藤純子の『緋牡丹博徒』シリーズを彷彿とするシーンが出てくる。なにしろ、肥後熊本から人買いに売られてきた少女の名前が「おりゅう」だったのには、唖然となった。
冒頭のお勝が仁義を切るシーンは加藤泰監督の『緋牡丹博徒 花札勝負』(1969)の引用だろう。
みどころは、女渡世人を演じた女優たち。
いずれも、この年に引退した藤純子の後継者として期待されていたという。
とはいえ、時代劇の脇役として息長く活躍した土田早苗をのぞき、他の女優たちはほどなく表舞台から退場していくことになる。
結局『緋ぢりめん博徒』も期待に反してシリーズ化されることはなかった。
あだ花のような1本。傑作とはいえないが、嫌いじゃない。



8 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2023年11月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  

最近の日記

もっと見る