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2022年06月11日23:47

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映画日記『ドンバス』

2022年6月11日(土)

『ドンバス』(2022年)
監督:セルゲイ・ロズニツァ
伏見・ミリオン座

週のはじめに見た『ニューオーダー』と対をなすような1本。
『ニューオーダー』は、ある日突然、政治体制がひっくり返ってしまった世界を描いていた。それまでの日常が崩壊し、理不尽な暴力と恐怖が支配する世界だ。
いわば近未来のディストピア映画だったが、本作を見たら、まさにウクライナ東部のドンバスがそうだった。

親ロシア派勢力、その名も「分離派」が実行支配しているドンバス地方での出来事を、断片的なエピソードでつづっていく。
フェイクニュースの撮影現場からはじまり、物資横流しを口八丁で煙にまくブローカーみたいないかがわしいオヤジや、市民の車やスマホを当り前のように略奪していく警察隊に、呆気にとられたり苦笑したり、いっぽう老若男女の市民たちが、捕虜となったウクライナ義勇兵をよってたかってリンチするシーンには目をそむけたくなる。
映画のチラシによると、各エピソードは実話にもとづくという。

『ドンバス』は2018年製作で、その年のカンヌ映画祭<ある視点部門>監督賞を受賞した。
4年前にカンヌ受賞の勢いで日本で公開されていたら、私なんかにはチンプンカンプンだったはず。
そもそも「ドンバス」と言われても、どこだか分らず、何が問題になっているのかもさっぱり理解できていなかった。
こんなことになって公開されたことが、本作にとって良かったのか悪かったのか、微妙だ。

無名の出演者たちが、いずれも達者で見ごたえがあった。
とりわけ浮かれた花嫁さんが強烈。
強烈といえば、偽が真になり、その真が偽になっていくという無限ループのようなラストシーンも強烈な印象を残した。


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