２０５０年の中国（その１６）

２０５０年の中国（その１６）

「２０５０年の中国」について（その１５）
第２部　２０５０年の中国（その８）
第３章　２０５０年の中国・・・社会主義現代化の全面的建設（その１）


２０２０年、「小康社会」の全面的完成後、いかにして「百周年奮闘目標」を実現するか。どのような戦略的施策と発展の経路があるか。この目標の実現には、長期的かつ計画的で、段階を分けた努力と奮闘が不可欠である。

第十九回党大会の報告は、２０２０年から今世紀半ばの３０年、社会主義現代化国家の全面的建設に対し、二段階の計画を確立した。
第一段階は２０２０年から２０３５年までであり、「小康社会」の全面的建設という基礎の上、更に１５年の奮闘を続け、社会的現実化を基本的に実現する。
第二段階は２０３５年から今世紀半ばまでであり、現代化の基本的実現という基礎の上、更に奮闘し、中国を富強、民主、調和、文明、美の社会主義現代化強国に築き上げる。

大目標は、富強、民主、調和、文明、グリーンの社会主義現代化強国を全面的に築き上げることである。以下の六つの強国目標がある。

第一に、富強の社会主義現代化強国を築き上げる。いわゆる「民富」とは（訳者注・・・「民富国強」という中国語を踏まえたもの）、平均的所得水準、人間開発水準、主要な工業化、情報化、都市化、現代化指標が世界の先進国の水準に達するということであり、２０５０年までに、中国の一人当たりGDP（PPP、２０１１年国際ドル）は米国の一人当たり水準の７０％から８９％に達し、国際比較で見て、一人当たりGDPの絶対的水準にせよ相対的水準にせよ、２０５０年には一人当たりGDPで先進国の水準に到達」という目標は実現可能である。
共同富裕時代から共同発達時代に入る。いわゆる「国強」とは、主要な量的指標が世界一であり続け、核心的競争力で世界の上位に座ることである。科学技術力は大幅に躍進し、世界の科学技術革新強国となり、世界の主要な科学の中心とイノベーションの高峰となる。
第二に、民主的な社会主義現代化政治強国を築き上げる。いわゆる民主的とは、社会主義民主政治建設、法治社会建設、法治国家建設、政治文明建設がより高い水準に達し、社会制度の優位性、政治の優位性、国家の優位性及び人民主体の優位性がよりはっきりと現れることである。

第三に、文明的な社会主義現代化文化強国を築き上げる。いわゆる文明的とは、社会主義先進文化建設、精神文化建設、文化事業建設、文化産業の発展がより高い水準に達し、人民の精神文化生活がより豊かになり、公民の道徳的素養が全面的に向上することである。社会主義核心的価値観を実践し、社会全体が自覚的に行動し、国民の素養が著しく向上し、中国の精神、中国の価値、中国の力が中国の発展の重要な影響力及び推進力となり、国際影響力でトップクラスの国となる。中華文化の全体的実力、国際影響力、国際的ソフトパワーも更に強化する。

第四に、調和的な社会主義現代化社会強国を築き上げる。いわゆる調和的とは、社会主義調和社会の構築である。労働者全体の十分な雇用、質の高い雇用、高い起業率を実現する。より高い水準、質、利便さの公共サービス体系を全面的に整備し、人口全体、人生周期全体、サービス過程全体をカバーし、人口の健康、社会の教育水準などの指標において世界の上位に入る。人口全体をカバーする高水準の社会保障体系を整備する。活力に満ち、団結し、和やかな社会を作り、効果的に各種の社会矛盾を調整し、各種の社会危機に対応し、各種の社会コストを抑える仕組みを形成する。各地域、都市と農村、所得の格差は全面的に縮小する。

第五に、美の社会主義現代化エコ強国を築き上げる。いわゆる美とは、すなわちグリーンであり、中国の特色あるエコ文明を最も備えたグリーンな現代化を創出する。人と自然が調和して付き合い、共生、共栄できるようにする。これには、世界最大の森林黒字国になること、「両屏三帯（訳者注・・・人間や都市との隔絶をイメージした青海・チベット高原生態障壁、黄土高原・雲南・四川生態障壁の二つと、帯をイメージした東北森林帯、北方砂防帯、南方丘陵地帯の三つの生態環境保護地域のこと）」という生態安全帯戦略の布石を打つこと、人と水が調和する国、碧水と青空の国、世界的に現代化されたグリーンエネルギーの国を造ること、資源節約型社会、環境にやさしい社会、気候適応型社会、低災害リスク型社会を形成すること、二酸化炭素などの温室効果ガスを顕著に削減することが含まれる。これが中国の特色あるエコ文明を最も備えたグリーンな現代化、すなわち「美しい中国」である。

第六に、世界で強大な一流の軍隊を完成し、国防力、軍事戦闘力で世界の上位に座るとともに、人類の発展に大きな貢献をする国を造る。人類は地球という同じ村で生活している。各国は互いに依存し、苦楽を共にしており、力を合わせて人類運命共同体を作り上げなければならない。そのため、中国は人類と世界の発展に対して、平和発展への貢献、経済発展への貢献、革新発展への貢献、文化・文明への貢献、グリーン発展への貢献という五つの貢献をしていく。