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2018年10月17日23:03

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映画日記 『沈黙』

2018年10月16日(火)

『沈黙』(1962年)
監督:イングマール・ベルイマン
今池・名古屋シネマテーク

無謀なことに、イングマール・ベルイマン監督の「神の沈黙 三部作」をいっきに見てきた。やっぱり、無謀だった。
三部作のうち『鏡の中にある如く』と『冬の光』の2本は、どちらも半分ほど寝てしまった。
3本目となる『沈黙』は意地でもちゃんと見ようと、気合いを入れてのぞんだ。
なにしろ、この日の本命だ。
『沈黙』は公開当時、ほとんどエロ映画のような扱いを受けていた。
記憶間違いでなければ、「18禁」だった。
難しいことはからきしダメだが、エロは得意だ。

翻訳家でインテリの姉と、少々身持ちの悪いその妹、10歳ぐらいの妹の息子の3人が国境をまたぐ長距離列車の旅をしていた。
姉の体調が悪くなり、3人はやむなく見知らぬ国で途中下車した。
しかし、そこではフランス語も英語もドイツ語も、まったく通じない。
3人にとって意味不明の言葉と文字が飛び交う街だった・・・・

うーむ、さっぱり分からん。
大枚はたいてパンフレットを買い、さっそく『沈黙』の解説を読んでみたが、チンプンカンプンだった。
期待したエロも、今から見たらどうってこともない。なにしろ半世紀あまりも昔の映画だ。
面白くないのかと問われると、面白くないとこたえるしかない
しかし、見る価値はあった。

モノクロで撮られた、街中を戦車が徘徊する不穏な空気感や、言葉が通じないという不条理な世界に見入ってしまう。
ホテルの廊下を舞台を終えたこびとの芸人一座が帰ってくるという、ただそれだけシーンが、どういうわけか心をかきみだす。

「神の沈黙」と言われても、正直分からない。
『鏡の中にある如く』のラストで、父親と会話できたことに青年は素直に喜んだ。
『冬の光』では、教会の牧師とパイプオルガン弾きと小間使い、誰ひとり神の存在など信じていない3人の男たちが、それでも礼拝の準備をはじめるというシーンで終わった。
『沈黙』のラストは、甥っ子の少年は、死を予感した伯母から手渡されたメモを読むシーンで終わる。
3本を見終わり、居酒屋で飲みながら、ボンクラなりにいろいろと考えてみた。
この日見た3本は、仮に世界が「神の沈黙」という状況にあったとしても、決して絶望しているわけでもないように見えた。
そして、その先にあるのは、どんなに神が沈黙していようとも、人間としての営みは続けていくしかない、という決意だった。



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