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2017年11月23日23:40

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本●「全員死刑」

本●「全員死刑」
鈴木智彦 小学館文庫

読了。

先日見終えた小林勇貴監督の新作『全員死刑』の原作本。
見る前に購入して読み始めたが、映画に先を越されてしまった。

サブタイトルに“大牟田4人殺害事件「死刑囚」獄中手記”とある通り、2004年に福岡県大牟田市で起きた4人連続殺人事件の全貌。
事件は多額の借金を背負った暴力団組長とその妻、さらに長男と次男の一家4人が共謀し、金目当てに知りあいの闇金をしている女性とふたりの息子と、運悪く居合わせた長男の友人の4人を次々と殺害していったというもの。
映画では間宮祥太朗が演じた4件の殺害すべての実行犯である次男の手記を中心に、ルポライターの鈴木智彦が手記の背景説明や補足と取材にもとづく関係者のコメントを加えている。

町山智浩がラジオで言ってた通り、たとえば絞め殺した相手がなかなか死ななくて困ってしまうといった、映画で思わず笑ってしまったシーンのほとんどが実際の出来事だった。
次男がたえず長男に対して猜疑と侮蔑のまなざしを向けていたことも映画と同じだった。

読み終えて感じたのは、映画を作るにあたって小林勇貴監督が大牟田4人殺害事件の顛末に、何もいじっていないことだった。
前作の『孤高の遠吠』を見たときも同じような感じだった。
静岡県富士宮市にたむろする不良たちの姿を描いた『孤高の遠吠』には、疲弊する地方都市とか、暴力の連鎖といった社会的なテーマみたいなものが微塵もない。
こういう例えは間違っているかもしれないが、小林勇貴監督は富士宮の不良たちを、大牟田の殺人一家を、ひたすら写生したのではないかと思った。

ところで、その小林勇貴監督が書いた「実録・不良映画術」(洋泉社)を読み始めた。
まだ100ページあたりだが、ここまで爆笑につぐ爆笑で、ひょっとしたら彼の映画より面白い。
どれぐらい面白いかというと、地下鉄の車内で読みながら大笑いしてたら、隣でスマホをいじってたOLさんが気味悪がって席を移動したぐらい面白い!!



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