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2022年10月25日23:41

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映画日記『熱いトタン屋根の猫』

2022年10月25日(火)

『熱いトタン屋根の猫』(1958年)
監督:リチャード・ブルックス
伏見・ミリオン座

ポール・ニューマンの特集上映から未見の1本。
タイトルだけは知ってるがどんな話なのかまったく白紙。

南部の大農園を経営する資産家の屋敷が舞台。
一家の長である父親の誕生日を祝うため、長男一家と次男夫婦が集っている。
長男一家は、莫大な資産を持つ父親に取り入るためか、子供たちが誕生日パーティで演じる歌や余興の準備であわただしい。
いっぽう、次男のブリックは足を怪我したうえ、ずっとウィスキーを飲み続けている。
ネクラなアル中男。
妻のマギーは、いたずら盛りの長男一家の姪っ子や甥っ子たちに当たり散らすヒステリー女。当然、アル中のブリックにもいら立ちをぶつけると、彼も応戦するしまつ。
どうも、ブリックは亡くなった親友のスキッパーと妻のマギーが不倫していたのでは疑い、夫婦関係を断っているみたいだ。
マギーが夫をなじる、私は熱いトタン屋根の猫よ、欲求不満で気が狂いそう!!
それでなくても、子どもがいない自分は、子だくさんの兄嫁から蔑まされている。
そこへ、病院での検査を終えた父が帰ってくる。
検査の結果は何もなかったことになっているが、じつは・・・・

そのタイトル名から、なんとなくドロドロした愛欲劇だろうと想像していたが、愛欲と同時に金欲も重なってくる。
いくら溢れんばかりの金があっても幸せとは限らないという、ブルジョワ一家のゴタゴタを描くおなじみのストーリーのようにも見える。
とはいえ、何不自由ないはずの一家が、互いになじり合いを始めるあたりはやはり見ごたえがあった。
とりわけ、傲慢で高圧的な父親が、じつは子どもの頃、ホーボーをしてた文無しの父親といっしょにあちこちを点々としていたのだが、そんな父子ふたりでの貧乏な放浪暮らしがいちばん幸せな時だったと、次男に語るシーンにしみじみとなる。
まるで、『砂の器』だ。
ということで、日頃は口をつぐんでいたことを、腹蔵なくすべて出し切った一家は、新しい一歩を踏み出すことになる。
ブリックとマギーも、その夜はベッドをともにするみたい。
ハッピーな予感でジ・エンド。
やっぱり、言いたいことは互いに面と向かって言い合わなきゃいけないなあ、なんて思いながら、映画館を出た。

ところがである。帰宅して本作のことをウィキペディアで見てびっくり。
ポール・ニューマン扮する次男のブリックと死んだ親友スキッパーは同性愛だったというではないか。原作者のテネシー・ウィリアムズも、そのことが映画では曖昧になっていて、とても不満だったという。
びっくりしたのと同時に納得もした。
それなら、ブリックがアル中になるのも、エリザベス・テイラー扮する美人妻のマギーを遠ざけるのも不思議でない。
しかし、そうなるとあのラストシーンはどういうことだろう?
妻に対する夫としての「義務」ということかな。
正直、よく分んない。

ごちゃごちゃ書いてしまったが、大きなスクリーンでポール・ニューマンとエリザベス・テイラーを見ることが出来ただけで、もうけものだった。



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