映画日記『サハラのカフェのマリカ』

２０２２年１０月６日（木）

『サハラのカフェのマリカ』（２０２２年）
監督：ハッセン・フェルハーニ
今池・名古屋シネマテーク

アルジェリアのサハラ砂漠を走る幹線道路沿いに、ショボいカフェがポツンと一軒だけ営業していた。
マリカという、でっぷりとした婆さんがひとりで切り盛りしている。
ふだんの話相手は猫と犬、それでも孤独を嘆くでもなく、あくせくと働くこともない。
そんなマリカ婆さんと、まれにカフェに立ち寄る客たちとの会話にカメラが向けられる。
そのまま受けとめれば、酸いも甘いも噛みわけ、俗事を超越し人生に達観したようなマリカ婆さんの、含蓄に富んだ話を味わう映画ということになりそうだ。
ところがどっこい、この婆さん、どこか人を食ったところがあり、話すこともどこまでほんとうなのかよく分らない。ちゃっかりスマホも持っている。
砂漠で生きるひとりの婆さんのおとぎ話を期待したら、うっちゃりを食うことになる。
そういう意味で、いわばリアル版の『バグダッド・カフェ』だった。
いちおうドキュメンタリーだろうが、作品のＨＰを見たら本職の俳優も出てるみたい。
さらに、マリカ婆さんは地元のテレビでも紹介されたことがあり、ちょっとした有名人なのだという。
かなり妙ちきりんな映画で、面白いかと問われたら、正直なところ微妙。
とはいえ、世界には色んな人がいて、色んな人生を送っているものだと感じ入る。
きっと、のちのちまで記憶に残る1本だ。