2022年6月13日(月)
『沈黙』(1964年)
監督:イングマール・ベルイマン
今池・名古屋シネマテーク
うだるような暑さのなか、姉と妹、そして妹の息子の三人が、夜行列車に乗っていた。
途中で姉が体調を崩したため、途中下車しホテルをとった。
しかし、そこは言葉が通じない国、夜更けに戦車がガサゴソと動き回る国だった。
姉はお高くとまった翻訳家のインテリ、しかしアル中、妹は奔放で男好きのする女、姉妹といえどもそりの合わないふたりはどこかぎくしゃくしていた。
姉は自らを慰めるかたわらで、妹は街に出て、行きずりの男をホテルの部屋に引き入れた。
その現場を姉に見つかった妹は、「むかしから、えらそうにしてるあんたなんか、だいきらい」と、姉に向かって、これまでのうっぷんを晴らすかのようになじりはじめる・・・・
見るのは2回目。
やっぱり、よく分らない。
分らなくてもスクリーンに引き込まれしまうのが、ベルイマン監督の凄いところ。
夜行列車に流れる倦んだ気怠さ、戦車が喚起する暗い戦争のイメージ、息子の少年が小人一座のメンバーに少女服を着せられる危ういエロティシズム、そして女ふたりのいがみ合い。
映画のテーマを求めたり、どう解釈したらいいのかと悩む前に、登場人物たちに漂う緊張感と映像の造型力に魅せられてしまう。
そして、作品全体が放つ底なしの孤独感だけはボンクラな私にでも分った、とおもう。
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