☆マトリックス・トリロジー I
90年代のセンセーションはまずはタランティーノ登場であるけれど、その他で言えば、その時代にはリンチのツインピークスがアメリカのみならず世界でブームになったり、とで、その他のセンセーション、羊たちの沈黙や許しざれる者、或いはバートン・フィンク、ファーゴ、ビッグ・リボウスキといったコーエンズのカメレオンなメタモルフォーゼ、セブンやファイト・クラブでのフィンチャーの登場、トゥルーマン・ショーやフォレスト・ガンプやショーシャンクの空にといった異形のヒューマニズムがあるけれど、忘れちゃならぬはウォシャウスキ姉妹(当時はまだ兄弟であった)のマトリックス・トリロジー(99〜03)。
タランティーノとデイヴィッドリンチに即してシミュラークルとハイパーリアルを考えると、姉妹のこのトリロジー、まさにそれそのものをテーマにしている。数値の差異で構成されるマトリックスってのは、シミュラークル世界であり、いわば(エジプトのピラミッドではなく)ラスベガスのピラミッドであり、そうしたオリジナルなきコピーを本物だと思う感覚ハイパーリアル‐リアルではないものをリアルだと感じること‐で構成された世界であり、そうした世界を本作はSFタッチに表している。だからボードリヤールが言ってる概念とはちょいと違うけれど、でもネオたちが住んでいる都市社会は仮想社会であり、現実のものではないのに現実だと思っていること、ハイパーリアルという概念に近いのではないかな。本作品に出てくる、人間が見えていない荒廃したニューヨーク(そちらが現実である)はなにかターミネイターで表される、人間とマシーンの戦争の結果生まれたようなディストピアに見えるがさにあらず、どちらかというと、ウォーリーに出てくる、エーアイかマシーンか知らないけれどそんなのに頼り切ってしまい移動式カプセルに乗ったままがゆえ小太りになってしまった人たちがいる世界に近いのであり、マトリックスのディストピアに生きる冷凍人間たちはエーアイかマシーンか知らんけど機械に頼り切っているためかアホになっていてエーアイはそれにつけこんで、こりゃ美味そう、と人々の体温エナジーを核融合して自身のエナジーに変えている世界、もはやほとんど人新世の次の時代だと言える。 to be continued
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