*『ポーラX』(Pola X 1999)購入したので観る。 おもしろかった。
*ノエはLOVE 3Dと同じようにこちらもラヴ・トライアングル。でもって同じように、金髪ではなくブルネットの女性の方がファムファタールとなる。運命の女は男性主人公を翻弄する。こちらはまさにそれである。白鯨はハーマンメルヴィルの原作、なにかゴシックホラーのような趣。音楽はレジェンドであり呪われた音楽家スコットウォーカー。そして、ピエールを演じるは、フランスを代表するアクター、ジェラールドパルデューの御子息ギョーム、おまけに彼は37歳の若さで没し、女性主人公イザベルを演じるカテリーナゴルベワはビノシェと別れたあとカラックスが愛し配偶者となった女性(ヒト)、でも謎の死を遂げている(註1)。おまけに本作、興行的にコケている。『ポーラX』、まさに呪われた大作である。
*エスタブリッシュのクレーン・ショット、白くシャイニーな大きな屋敷へ近づき、それから2階の窓へ、そしてそこで寝ている、いつもプリンセスのマリーは暗いなかベッドで寝ている。白から黒へ、と、不気味へと引き寄せられる。ゴシックホラー調、汚れた血、呪われた家(族)。
*明るい白を基調とした前半。されど、父の形見であるバイクはだんだん傷ついていっている。白を基調とした男性主人公ピエール、そして同じ家系のティボーは影ある存在、黒を基調とした服装。
*夢に出てくる女性(ヒト)であるイザベル。彼女も黒を基調とした服装。一方、ピエールのフィアンセ、リュシーは白を基調としている。
*オープニングクレディットの空爆など壊れゆくドキュメンタリー映像はなにを意味するのか。
*冷戦時代の東側にいた外交官の父の秘密を知り、家族の秘密も知り、ピエールは自身の血に抗うかのように理想を追う。真実を追えば追うほどなにも見えない。偽善に堕ちていくように闇へと。イザベルが子供時代のことを語り、ピエールが彼女の後ろを歩く森のシークエンスは、おどろおどろしいながらも幽玄的。とても印象に残る。
*イザベルに連れ沿う母と子供はロマ族、ジプシーか。排他される人々の歴史が揺れる。それは現在の移民問題のヨーロッパにもつながっていくかのようにも映る。子供はピエールが言った言葉「人間は臭い」を繰り返す。
*未熟なピエール、そして不吉なイザベル。しかし愛は本物、真実としてある。
*されど、真実に向かえば向かうほど偽善に陥ってゆく。
*途中、どこかで誰か滝の話をしていたっけ。そこでなにを言っていたか忘れたが、滝から急流の川へ流されるピエールとイザベル、血の池地獄にいるかのようである。
*ジプシーの母親に連れられ革命家/アナーキストの隠れ家へ。社会に排他された人々が棲むかのようなトポス。ピエールもまたそこの住人となる。「光の中へ」という小説をアラジンの名義でヒットさせたピエールは仮面をはずしたその先に、混乱のなかにいる。
*インダストリアル・ミュージックがアジトで轟く。反社会行動の訓練が繰り返される。彼らはコバイア語で論破しているのだろうか。アヴァンシャンソンか、それともインダストリアルか?フランスのアヴァンガルド★ロック!
*ピエールは必死となり小説を書き続ける。ふたりの生活のために、そしてそれはやがて3人の生活へと変わる。社会に適合しない言葉で書かれる文字たち、混乱のなかにいる。或いは、真実へと近づいているのか。
*テレビ番組の司会者の声は無言、そしてカフェでピエールと喋る革命家の声も無言。もはやポピュリストの声もアナーキストの声もピエールには届かないし、彼の声も届けられない。ピエールは叫ぶ、「無理だ!」。
*混乱のなかにいるのか、それとも、真実へと近づいているのか。
註1 享年44歳。死因は公表されていない。
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