81年新日本プロレス「ブラディ・ファイト・シリーズ」振り返りの続きです。
2シリーズ連続参戦のバッドニュース・アレンは先の「サマー・アクション・シリーズ」ではアブドーラ・ザ・ブッチャーのメインパートナーを務め、今シリーズではアンドレ・ザ・ジャイアント、スタン・ハンセン双方のメインパートナーを務めてグッドワーカーぶりを発揮しました。
特に9月4日豊田市体育館でのアンドレ&ハンセンと組んだ6人タッグマッチ(vs猪木&タイガー戸口&長州力組)では仲間割れした両者の中間に入り試合を成立させる重要な役割を果たし、その力量の高さを見せてくれました。
初のシリーズフル参戦となったエル・ソリタリオ。前回79年5月「第2回MSGシリーズ」は1週間の特別参加であり、タイトル挑戦もなく、同時期に来日していた同じメキシカンのカネックの陰に隠れて印象が薄い感じでした。
メキシコではミル・マスカラスと並ぶヒーロー、今回はジュニア・ヘビー級のトップの扱いで藤波辰巳、タイガーマスクを相手に得意の空中戦で対抗、魅力を発揮出来たと思います。
しかし、シリーズ最終戦、9月23日田園コロシアムでの藤波とのWWFジュニア・ヘビー級選手権試合ではヘビー級転向間近と言われた藤波とは、体力差、グラウンドの技術で大きく差をつけられ、コントロールされてブレーンバスターであっさりとフォール負けしてしまいました。
来日はこの時が最後となり86年4月6日、3月のモンテレイの試合で腰を強打し歩行困難になり手術を受けましたが施術中に麻酔の投与で心臓麻痺を起こし39歳の若さで急逝しています。
1年ぶりの来日となったピート・ロバーツはジュニア・ヘビー級ながらアレン同様、アンドレ、ハンセンのパートナーとして度々メインイベントに起用されランカシャースタイルのレスリングで観客を魅了してみせました。
初来日のハックソー・ジム・ドゥーガンはテレビ登場はなし。私は最終戦の田園コロシアムで1回見ただけなのでこの時に評価が出来る立場にはありませんが、しょっぱいと2度と呼ばれない可能性大、特に新日本プロレスの場合はその傾向が強いので注視しました。
荒削りで上手くはなかったですがパワーは相当なものでこのまま伸びればブルーザー・ブロディ的存在になるという印象を受けました。
帰国後はテキサス州サンアントニオ、フロリダ地区でヒールとしてポジションを上げ、84年にビル・ワット主宰のオクラホマ、ルイジアナといったトライステート地区を中心としたMSWA(後の米国版UWF)でベビーフェイスに転向。2✕4(ツーバイフォー)の角材と星条旗をトレードマークにメインイベンターとして活躍。
86年1月、WWFと関係の切れた新日本プロレス「ニューイヤーダッシュ86」にエース格として再来日しましたがポーズばかりで間合いのある試合運びで新日本プロレス勢とは噛み合わずに終わりました。
初来日ブラソ・デ・オロ&ブラソ・デ・プラタ組のロス・ブラソスは開幕戦の8月21日大宮スケートセンターでのタイガーマスク&エル・ソリタリオ組の試合がテレビ生中継され、流れるようなルチャリブレのムーブで観客を沸かせました。
タイガーマスク組の負け役のポジションになっていましたが、少年期からルチャの基礎を叩き込まれており負けても評価は下がりませんでした。
中盤戦特別参加のアンドレ・ザ・ジャイアントは右足を骨折してから初の来日でフットワークや病院生活で食べてばかりいたという体重増加による動きの低下が心配されましたが、そんなところは微塵も見せず、カウンターの「人間エクゾセミサイル」と言われた18文キック(ビッグブート)も足が良く上がっていました。
体重増加により、ここ近年では膝に負担のかかるジャイアント・プレスは使う頻度が減り、ヒッププレスによる圧殺が増えましたが、今回はジャイアント・プレスも度々披露。大巨人復活を印象づけています。
シリーズ最終戦の9月23日田園コロシアムでのスタン・ハンセン戦では入場時に襲いかかってきたハンセンをカウンターの18文キックで迎撃してみせたシーンはアンドレの類稀なる運動能力の高さを見せつけ、またハンセンの攻めを受けながらゲームメイキング役を見せ、歴史に残る激闘にしてみせたのはアンドレの力量によるものでしょう。
終盤戦特別参加のソラールはテレビ登場は9月18日広島県立体育館でソリタリオと組んで藤波&タイガーマスク組と対戦した試合と9月23日田園コロシアムでのタイガーマスク戦の2回。
広島での動きは良かったですが、田園コロシアムでのタイガーマスク戦は山本小鉄の強引な腕引っ張りと試合のストップが遅かった判断で残念な終わり方になってしまいました。
やはり当時の新日本プロレスにおけるメキシカンの扱いは悪かったと言わざるを得ません。案の定新日本プロレスへの来日はこれ一度きりに終わりました。
1992年にはユニバーサルプロレス、97年にはみちのくプロレスに来日しようやく本領発揮となりました。(この項目続く)
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