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2024年07月18日10:32

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TBSK管弦楽団第15回定期演奏会/ミューザ川崎

7/14(日)、ミューザ川崎シンフォニーホールで行われたTBSK管弦楽団 第15回定期演奏会を聴きにいってきた。

フォト

TBSK管弦楽団のコンサートは、これ迄何度も聴き、レポートもしてきた。
以下は昨2024年第14回定期のレポートへのリンクである。
��https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1985708728&owner_id=3341406
��https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1985715395&owner_id=3341406

国内だけでなく、2017年10月にはオーストリアのアイゼンシュタット エステルハージ城にて演奏、2018年8月にはチェコのプラハで開催された「夏のプラハ音楽祭」に招待され、チェコフィル、プラハ放送響メンバーらと共演等、海外公演も積極的にチャレンジしてきた。
今年の夏には、プラハ及びクトナーホラでのスメタナ生誕200周年音楽祭に参加。来年はイタリアのトスカナ州オルベテッロで行われるフェスティバルに参加を計画しているとの事。

こちらはTBSK管弦楽団のホームページ。
https://tbsk-orch.com/

いつもアグレッシブなプログラムを組む本管弦楽団、今回は以下の通り。トータルテーマは「北欧」である。

〈プログラム〉
1. アルヴェーン作曲 スウェーデン狂詩曲第1番《夏至の徹夜祭》Op.19
2. ニルセン 交響曲第5番Op.50
〜休憩〜
3. シベリウス 交響曲第2番ニ長調Op.43

3人の作曲家は皆北欧出身だ。
ヒューゴ・アルヴェーン(1872-1960/スウェーデン)
カール・ニルセン(1865-1931/デンマーク)
ヤン(またはジャン)・シベリウス(1865-1957/フィンランド)

時代の共通点を言えば、3人共19世紀末から第1次世界大戦前後に活躍した。
今回の3作品の作曲時期は、順に1903年、1920〜22年、1901〜02年と、第1次大戦を挟んでいる。ニルセンの交響曲は作曲者が調性を明記しなかった通り、調性も明確でなくなり、後期ロマン派を脱しつつある。
この曲は、放送でだが、2021年にブロムシュテットの名演を聴いた。
興味がありましたら、以下のレポートに寄り道ちして頂けたらありがたい。
・「N響1939回定期 交響曲第5番(ニルセン)/ブロムシュテット」(2021.12.9記)
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1981050894&owner_id=3341406

3人の作曲家の中で、アルヴェーンという名は知らない人が多いだろう。
が、この曲の出だしを聴けば誰しもああ聞いた憶えがあるなと思うに違いない、が、それはまず勘違いである。NHKの長寿番組「今日の料理」(1957~)のテーマ(1957/冨田勲作曲)に実によく似ているが、全く関係はない。

今回のレポートはアルヴェーンとこの曲に絞って書こうと思う。

アルヴェーンは1872年にストックホルムで生まれた。ニルセンとシベリウスはたまたま1865年、同じ年に生まれたのだが、その7年後という事になる。
1887〜91年にかけてストックホルム音楽院でヴァイオリンと作曲を学び、在学中から王立歌劇場のヴァイオリン奏者となった。
1900年にはデンマークのコペンハーゲンに渡り、1903年、ユトランド半島最北端のスケーエンで本曲を作曲した。
1910〜39年の長期間、スウェーデンのウプサラ大学(1477創設/北欧最古)で音楽監督を務め、同校男声合唱団オルフェイ・ドレンゲルの指揮を1947年(75歳)迄行った。

彼は後期ロマン派に位置付けられ、スウェーデンの自然や民俗音楽から着想を得、標題を持つものも多く、管弦楽は色彩豊かだ。
経歴から数多くの男性合唱曲を書いているが、最も重要なのは1897〜1953年の間に書いた5つの交響曲である。
スウェーデン狂詩曲は3曲あり、1903〜32年に作曲された。うち今回の第1番は交響曲第2番と第3番の間に作られ、彼の作品の中で最も有名でコンサートで時おり採りあげられる。
初演は1904年、アルヴェーン自身の指揮にて。

冬の長いスウェーデンで夏至といえば、夜は数時間しか暗くならず、北部では所謂白夜となる。
「夏至祭」は毎年夏至に最も近い土曜とその前日、夜を徹して行われる、人々にとって最も大事な行事だ。
広場に「マイストング」と呼ばれる大きな柱を立て、皆民族衣装をまとってその周囲を回りながら踊る。
《夏至の徹夜祭》との標題を持つスウェーデン狂詩曲第1番には、民謡をベースにした音楽がいくつか登場する。

曲は以下4つの部分でできているが切れ目なく演奏され、夏至祭にまつわるサイドストーリーが仕立てられている。
�� アレグロ・モデラート…若者達が夏至祭に到着する場面。
�� アンダンテ…夏至祭の喧騒を抜け出し、恋人達が森に入っていく場面。
�� アレグレット…森に朝が訪れる場面。
�� アレグロ・コン・ブリオ…若者達が夏至祭に戻る場面。

�� アレグロ・モデラート…若者達が夏至祭に到着する場面。
“多くの人が既に広場に集まっていて、今や踊りが始まるところ。
ビールやアクアヴィットが振舞われている。
老人達の歌は旋律がズレて、皆笑う。”

ホルンの持続音と弦のピツィカートに乗って、クラリネットがスウェーデンのフォークダンスを基にした明るい主旋律を奏でる。
フルート、オーボエ、ファゴットと歌い継がれて急激にクレッシェンド、弦楽合奏へ。優しい踊りと、激しい踊りが交互に入り混じる。
音痴なお爺ちゃんとお婆ちゃんの歌は、ファゴットとクラリネットが巧妙に表現する。(楽譜にはどう書かれているんだろうか?笑)

“輪の中では、気の荒い男の喧嘩も始まる。喧騒の中、踊りは続く。”

気の荒い男達の喧嘩はホルンとファゴットが表現し、そのあと、音楽はカノン風に進行していく。

�� アンダンテ…夏至祭の喧騒を抜け出し、恋人達が森に入っていく場面。
“若い男が恋人の耳元で言う、静かな森へ行こう。
恋人は頷き、2人は駆けていく。
音楽は遠ざかり、森の木々の優しい囁き。”

冒頭の主題の断片が各楽器から聞こえる。
ホルンが主題後半の旋律を優しく歌うと、音楽は長いデクレッシェンドで次第に遠のいていく。
アンダンテの導入部は弦の合奏の優しく美しい調べ。
そして柔らかな風が吹き、木々が揺れ、深い森の神秘が起ちあがる。

“森の精の息吹で魔法にかけられたかのように、恋人達はうっとりとして物悲しい旋律を聞く。
突然強い風、森は壮大な音楽を響かせる。”

冒頭の旋律をチェロがピツィカートで物悲しく。
冒頭モチーフによるハープの伴奏の上をイングリッシュ・ホルンが哀愁を帯びた美しい歌を歌う。
これは《風が森で溜息をつき》というスウェーデン民謡をベースにしている。
間奏を経て、ゆったりとしたホルンのあと、弦が目まぐるしく動き、トレモロが森を吹き抜ける風や響きを表現する。

�� アレグレット…森に朝が訪れる場面。
“次第に光が射し、太陽が昇る。
花弁の上の朝露が光り、飛び交うハチの羽音、自然の目覚め。
2人は現実に引き戻され、皆がいる広場へ帰っていく。”

トライアングルに導かれてヴァイオリンがアレグレットで新たな主題を愛らしく歌う。
花々、虫達、小鳥達が、穏やかな森の朝、自然の目覚めを想わせる。

�� アレグロ・コン・ブリオ…若者達が夏至祭に戻る場面。
“恋人達が到着すると、広場では最後の旋回の踊りが始まる。
少年は足を踏み、少女をくるくる回す。スカートが舞う。
少女を空中に放り投げると、悲鳴と笑い。
旋回の勢いが増し、踊りは最高潮に達する。”

アレグロ・コン・ブリオの元気で快活なフォークダンス。
ホルンと弦楽がかけあい、音楽は鮮やかに進展していく。
ヴァイオリンの3連符のパッセージからクライマックスへと向かう。
一旦息を溜めギアを上げるようにテンポを何段階か上げ、夏至祭はプレストで熱狂的に盛り上がり、ホルンは咆哮、そして華やかに幕を閉じる。

客演指揮 山上紘生

10数分の短い中に、北欧の祭りの愉しさ、若い男女のやりとり、自然の情景の変化が凝縮されている。
高度なテクニックは感じさせないが、管楽器はかなり難しい。
次々と切れ目なく楽器を受け渡して展開を続け、テンポと表情は激しく変化、一時も破綻は許されない。ロマンティックな中に、軽味、洒脱味、冗談等もさらりと盛り込んで一幕の音楽詩として表現するのは簡単でない。
指揮者のハンドリングも試される。
 
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