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2024年05月15日23:59

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映画日記『Here』

2024年5月15日(水)

『Here』(2024年)
監督:バス・ドゥボス
伏見・ミリオン座

ベルギーの大都市でビル建設に従事するルーマニアからの出稼ぎ労働者の男シュテファンは、長期間にわたる工事の中断期間を利用して、ルーマニアへ帰省することにした。
じつは帰省したままベルギーには戻らないかもしれいないと、彼の心は揺れ動いていた。
とはいえ、次の月曜日にはルーマニアへ出発する予定だ。
出発の前に下宿先の冷蔵庫を空にしようと、彼は残り物を使って、唯一の自慢料理であるスープをこしらえ、友人や知人たちに配ることにした。
そんなある日、シュテファンは森の中で、中華料理屋で出会った中国系の女性シュシュと再会する。てっきり中華料理屋の店員だとおもっていたシュシュが、じつは苔(こけ)を研究している植物学者と知ったシュテファンは、いっしょになって地面の苔をのぞき込むことになり・・・・

と、こうあらすじを書いてみると、さほど面白そうにはおもえない。
実際、まったく起伏のない映画で、体調が悪かったら爆睡もの。
とはいえ、今日は体調が良かったのか、沈没することなく最後まで見入ってしまった。
誰が誰で、何がどうしたという説明など一切なし、たんたんと話が進んでいって、考えオチみたいなラストでクスっとなった。なんというか、「やられた!!」という感じ。
ベルギー映画なのに、主な登場人物がルーマニア人と中国系だ。
それと、画面にはしばしば鉄道が登場し、かつてベルギーが大陸横断列車の終点だったみたいなセリフが出てくる。
国や人種という単位をこえて、多くの人びとが行き来し共生する、あるいは共生せざるをえない社会と、ひっそりと地表に這いつくばっている苔の姿が共鳴する。
一見するとぶっきらぼうだが、とても繊細な映画で、けっこう好き。



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