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2024年02月24日01:24

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森鴎外の「舞姫」が「風刺」なのも知らない?

近代の日本では「風刺」作品が、まともにできませんでした。
だって言論規制、思想統制がキツかったじゃないですか?
ストーリーにそのままストレートに乗せる「風刺」なんて、やったら捕まりますってば!
それでも森鴎外は、初期の作品で「風刺」をやってるんです。
もちろん、その後は「寓話」に切り換えてますけどね。

近代の言論規制のせいで、日本には風刺文学が根付いてません。
だから、外国の風刺作家がテロで殺されても、日本の作家、文学者は冷淡です。
「バカなことをやってるから、こんな目にあうんだよ」ぐらいにしか、思ってないんでしょう。
そして学校でも、「風刺」の理解なんて、教えてないじゃないですか?
そのくせ、鴎外の「舞姫」を教科書に載せるんですよねえ。どうして?

簡単な推論でしょう?
「風刺」を無視してるのに、「舞姫」を教科書に載せるのは、「舞姫」を「風刺」だと思ってないから!

なんだか古めかしい古文みたいな文章で、今の学生は読むのもひと苦労でしょうね。
でも、それ以上に、今の学生にとって「明治の日本」なんて、もはや「別世界」でしょう?
そして、その点で言う限り、「今の国語教師」にとっても「明治」は「別世界」なんじゃないですか?
だったら、いっそ「架空世界」だとして読んでみれば、どうです?

もちろん鴎外は「架空世界の話を書いた」のではありません。
だけど「令和の作家」が「明治を舞台に書いた」なら、それはもう「架空世界」と一緒でしょう?
じゃあ「明治の作家が書いた明治」と「令和の作家が書いた明治」は「同じ明治」ですかね?

フィクションの「架空世界」には、「非現実的架空世界」と「現実的架空世界」の2種類があります。
無論のこと、フィクションで「現実世界」を書くことも可能です。
ゆえに「現代日本」を作品舞台にしてれば、「非現実的架空世界・現実的架空世界・現実世界」の3種が可能。
けれど「過去の時代」を使うなら、「現実世界」は不可能です。
精一杯に可能なのは「現実的架空世界」で、だとしても相当に苦労しますよ?
たいていは失敗して「非現実的架空世界」になっちゃうんですよ?「歴史小説」なんかは典型的に!
しかし「過去の作家」が「当時」の「現実世界」を書けば、長い年月の経過で、自然に「現実的架空世界」です。

たとえば、「戦国時代の人が書いた戦国時代」は、私にとって「現実的架空世界」です。
でも「江戸時代の人が書いた戦国時代」は、典型的に「非現実的架空世界」なんです。
これは「歴史の理解」ではなく、「文学の理解」です。
じゃあ「現実の歴史」を書いたつもりで「非現実的架空世界」になる場合、何が「非現実」か、わかります?

重要なポイントがあるんです。
そこが実は「非現実」であることで、「敵は人間なのに怪獣」の「展開パターン」が成立します。
どんなに「わかりにくい非現実性」でも、結局は「非現実的架空世界」だから「怪獣」が成立するんです。
このような「わかりにくい」かつ「典型的」に非現実化するポイントを理解するために必要なことは?
たぶん「本物」の「現実的架空世界」の実例を、一度ならず理解してみることだと思います。
それで「非現実的架空世界」と「現実的架空世界」の違いを理解し、「現実世界」はまた違うと知るでしょう。
その点で鴎外の「舞姫」は、百年の時を経て、「現実的架空世界」になってくれちゃってますよ?

もう一つ、大事な点があります。
鴎外が「現実を書いた」なら、そのストーリーに「ストレート」に乗ってる「風刺」に気づかないもんですかね?
こんなのは簡単に気づくはずで、なのに「誰も気づかない」から、「舞姫」を「風刺」だと思わないんでしょう?
だけど、思い出してくださいな?「近代日本」では「風刺」が「危険」だったことを!
簡単にバレたら「ヤバい」から、「バレないよう」にする仕掛けが入ってるんです。
しかも、当時の読者が「現実を書いてる」と思って読むから「引っかかる」仕掛けなんです。
よって、「これは現実ではない。架空世界だ」と思えば、仕掛けは無効になっちゃうんです。
今の人たち、どうせ「現実の明治」をわかりもしないんだから、素直に「架空世界」として読めばいいのに!
それをしないから、今になっても「舞姫」を読めてないんですよ?
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