mixiユーザー(id:6810959)

2023年04月17日22:51

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本●「あるフィルムの背景」

本●「あるフィルムの背景」(ちくま文庫)
結城昌治・著

読了。

二部構成の短編ミステリ集。
前半がいわゆる「イヤミス」というか、絶望的に陰鬱な話ばっかり。
読むのは二度目になる「孤独なカラス」は、何度読んでも気味が悪い。
結城昌治が書くイヤミス系では「孤独のカラス」が頂点だろうとおもったら、陰湿な夫婦喧嘩の末路を描く「蝮の家」、暴力亭主に虐げられてきた女のそれからを描く「老後」、レイプ事件によって社会から転落してしまった少女に訪れる眩暈の一瞬「惨事」など、どれをとっても嫌な話だが、同時に切れ味の良さが光る。
後半は一転して、ブラックユーモアに包まれたような話が続く。
まるで童話か落語のような「うまい話」にクスっとなった。
結城昌治は面白い。
ぽちぽちと読んではいるが、彼が残したぼうだいな作品のうちの、ほんのわずかなもの。
まだまだ、お楽しみはつづく。


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