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2022年04月02日07:29

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ストロング小林さん追悼(86)

73年国際プロレス年度最終シリーズ「ビッグ・ウィンター・シリーズ」は10月27日、北海道石狩町(現在の石狩市)国際モベレージ(おそらく移動体育館、観衆4,000人超満員発表)で開幕。移動体育館の表示はプロレス熱戦譜に記載されない為、推測で書いていくしかありません。

レッド・バスチェン、ジン&オレイのアンダーソン兄弟、ビル・ハワードがシリーズ全戦参加、特別参加がクロンダイク・ビル、デーブ・ラーセンが11月2日、仙台・宮城県スポーツセンター大会より参加。当時「まだ見ぬ強豪」の最有力候補の一人だった「狼酋長」ワフー・マクダニエルが11月4日、茨城県鹿島郡神栖町(現在の神栖市)体育館大会から待望の初来日を果たします。

開幕戦のメインイベントは「第5回IWAワールド・シリーズ」覇者ラッシャー木村&グレート草津組の現IWA世界タッグ王者チームが第6代同王者チーム、バスチェン&ハワード組とノンタイトルで対戦。1本目は19分55秒、バスチェンが草野を体固め、2本目は6分45秒、日本組の反則勝ち、決勝の3本目は3分7秒、草津がバスチェンを足4の字固めでギブアップさせて2−1で木村&草野組が勝利を飾りました。

ジン&オレイのアンダーソン兄弟は血の繋がりのないレスリング・ブラザーズですが長男がジン、先の「第5回IWAワールド・シリーズ」でベスト4に進出したラーズ(ラリー・ハイニエミ)が次男、オレイ(アラスカン・ロック・ロゴスキー)が三男になり、長男ジンが第一線を退いてからは四男のアーンが加入しています。

開幕戦ではオレイがマイティ井上とセミファイナル45分3本勝負で対戦。1本目は6分23秒、井上が体固め、2本目は3分47秒、オレイが体固め、決勝の3本目は1分59秒、オレイが体固めで連取。2−1でオレイが2フォール奪って勝っています。

小林はセミ前に出場、ジンとシングルマッチ30分1本勝負で対戦し、21分35秒、逆エビ固めでギブアップ勝ちを収めています。

先の「第5回IWAワールド・シリーズ」をシリーズオフに交通事故に遭い全休した稲妻二郎は第2戦の10月28日、帯広市総合体育館(観衆4,000人満員発表)大会で復帰、寺西勇に16分11秒、体固めで敗れています。

11月2日、仙台・宮城県スポーツセンター(テレビ収録、観衆5,000人超満員発表)大会、メインイベントは小林のIWA世界ヘビー級王座にバスチェンが挑戦。今回は小林25回目の防衛戦ですがバスチェンは4回目の挑戦で最多挑戦となります。

2回挑戦がカーチス(キング)・イヤウケア、ダスティ・ローデス、バロン・フォン・ラシクの3人。後は1回ずつ。それを考えると小柄で試合巧者バスチェンが吉原功社長に買われていたかがわかります。

1本目は15分11秒、小林がブレーンバスターから体固め、2本目は5分24秒、バスチェンがアトミック・ドロップから体固め、3本目は5分22秒、小林がお返しのアトミック・ドロップから片エビ固めに決めて2−1で小林が勝利。25回目の防衛を果たし、日本記録を更新しました。

この試合は05年12月にポニーキャニオンから発売されたDVD−BOX「伝説の国際プロレス」に収録されていますが、解説の吉原功社長がしきりに「小林には元気がない」「覇気を感じない」「身体の具合でも悪いんじゃないのか?」と辛辣なコメントをしているのが確認出来ます。

前72年11月27日、愛知県体育館での観客暴動騒ぎとなったディック・ザ・ブルーザー&クラッシャー・リソワスキー組と小林&草津組のWWA世界タッグ選手権試合(王者「ブル・クラ」が金網の外に出てしまい16分10秒、ノーコンテストとなり結果に納得いかない観客が暴動を起こした)以来の金網タッグ・デスマッチ、井上&浜口組とジン&オレイのアンダーソン兄弟の一戦は、両チーム凄まじい喧嘩ファイトとなり、アンダーソン兄弟が外したリングロープを使って2人がかりで浜口の両サイドから首を絞め上げて浜口が失神、29分50秒、カウントアウトでアンダーソン兄弟が勝ちました。

この日から特別参加のKビル&ラーセン組は草津&寺西組とタッグマッチ45分3本勝負で対戦。こちらのKビルは力道山時代の63年1月に日本プロレスにミスター・ブルートとして初来日し、68年7月のKビルとして再来日した時馬場にフォール勝ちしたKビルとは別人のイギリス版で181cm、210kgの巨漢レスラーでした。

1本目は11分56秒、寺西がラーセンをジャーマン・スープレックスホールド、2本目は4分30秒、Kビルが寺西を体固め、決勝の3本目は1分48秒、日本組のリングアウト勝ちで2−1で草津&寺西組が勝利を拾った感じです。

木村はハワードとシングルマッチで対戦し、12分24秒、体固めでフォール勝ち。

11月4日、茨城県鹿島郡神栖町体育館(テレビ収録、観衆4,000人満員発表)大会。メインイベントでは木村&草津組のIWA世界タッグ王座にジン&オレイのアンダーソン兄弟が挑戦。1本目は13分15秒に日本組の反則勝ち、2本目は7分35秒、木村がジンを体固めに決めて2−0のストレート勝ちで木村&草津組が2度目の王座防衛に成功。

セミファイナルはワフーが待望の初来日第1戦、井上とシングルマッチ45分3本勝負で対戦、1本目は12分22秒、ワフーが逆さ押さえ込みで先制、2本目は3分10秒、井上が体固め、決勝の3本目は3分30秒、ワフーが体固めで取り、2−1でワフーが井上から2フォール奪って完勝を収めました。

バスチェンは寺西とシングルマッチで対戦、10分52秒、体固めで勝利。小林は田中忠治とのタッグでKビル&ラーセン組と対戦、14分27秒、Kビルが田中を体固めでフォールし、Kビル&ラーセン組に軍配が上がっています。

小林は開幕戦もそうですが、この日もセミファイナルより前の試合出場で草津がマッチメーカーに就任したとされる「第5回IWAワールド・シリーズ」あたりから予選落ちしIWA世界ヘビー級王者ながら扱いが悪くなっていっているのが熱戦譜からも読み取ることが出来ます。

吉原社長は草津がヨーロッパ、イラク、アメリカ遠征から帰国した72年7月以降、草津をフロント入りさせており、取締役営業部長のポジションを与えています。吉原社長のブレーンであったフリーライターの菊池孝氏は吉原社長に国際プロレスのフロントとして入社を打診されたが断わったとのことですが、草津の役員就任はおそらくその後でしょう。

68年1月3日、TBS体制になって初の日大講堂大会でエース候補としてルー・テーズのTWWA世界ヘビー級王座に挑み、バックドロップで失神した姿を全国ネットのテレビ中継で晒され、早々にTBSからエース候補の座を外された草津を吉原社長は不憫に思い、リングでは小林をエースとしていましたが、フロントでは権限の一部委任を行い草津に営業面とマッチメイクを任せていました。

草津が小林にジェラシーを抱いていたのは事実であり、日本プロレスが崩壊し、団体間のパワーバランスが崩れた後もなかなか観客が増えず、TBS「TWWAプロレス中継」の放送時間の短縮による放映権料の減収、度重なる放送時間帯の変更で危機感を覚え、吉原&草津ラインで小林を外しにかかったということでしょう。これを小林が察知しない訳がなく、草津との関係は当然ながらギクシャクし、吉原社長への不信感に繋がっていきます。

木村にワールド・シリーズ優勝者としての看板を与えて、小林、木村を2枚看板として草津が「同格だけどエースではない」という重鎮的ポジションに座り、そのすぐ後を井上、寺西、浜口が固める、日本プロレス出身で力道山門下生だった田中は新日本プロレスでの山本小鉄、全日本プロレスでのマシオ駒と同じ立ち位置で道場での若手コーチ、リング上ではジョバーとして一歩下がってもらう、という編成で立て直しを図っていこうとしたかと思われます。

11月9日、和歌山県那智勝浦町観光会館(観衆1,500人発表)大会で初来日のワフーが小林のIWA世界ヘビー級王座に挑戦。1本目は小林がワフーを場外に落として鉄柱攻撃で流血させてからリングに上がって来たところを11分16秒、小林がロープ越しのブレーンバスターから体固め、2本目は2分4秒、ワフーが得意のトマホークチョップの連打で小林を流血させ、ダウンした小林の頭部にトマホークチョップを決めて体固め。 

決勝の3本目はラフな展開になり、ワフーが小林の割れた額に噛み付き、小林は下からの急所攻撃で返し、ワフーをコーナーに詰めてのショルダータックル狙いヘ。しかしワフーはこれをかわすと小林はコーナーに激突してダウン。すかさずワフーが押さえ込みました。ワフーは自らの足をロープに掛けて体重を乗せていきましたがレフェリーの阿部脩は見ておらずカウント3。2分45秒、ワフーが体固めで取り2−1でベルト移動、ワフーが第5代王者となっています。

今回は11月14日、長野市民体育館大会での2番勝負でしたので、長野では小林のリターンマッチとなりました。小林は26度目の防衛に失敗、防衛記録は25でストップしました。(その後全日本プロレスの馬場がPWFヘビー級王座38回連続防衛を果たして記録は更新された)ガックリと肩を落とした小林。控室では「また一から出直しです」とだけコメントし無言。

吉原社長は高田馬場の事務所におり、ゴング誌の取材に応え、「やっぱり負けたか、という感じですよ。名古屋での(バーン)・ガニアとの試合に負けたあたりから『そろそろ限界かな』と思っていました。若い寺西にも負けてワールド・シリーズの優勝戦線から脱落するなど、最近の小林はペースが狂ってしまっている。まあ、14日のリターンマッチでは心機一転して頑張ってくれるとは思いますがね…」と手厳しいコメントをしています。

那智勝浦大会セミファイナルは木村&寺西組がジン&オレイのアンダーソン兄弟と対戦したタッグマッチ45分3本勝負。1本目は22分55秒、日本組の反則勝ち、2本目は3分57秒、ジンが寺西を体固め、決勝の3本目は2分48秒、寺西がジンを体固めに決めて2−1で木村&寺西組の勝利。

草津はバスチェンとシングルマッチで対戦し11分5秒、両者リングアウトの引き分け、井上&田中組vsKビル&ラーセン組のタッグマッチは16分32秒、井上がラーセンを体固め、ハワードは栄勇を9分52秒、体固めで破っています。
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