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2021年03月06日10:08

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ガイリッチーとエドガーライト8

コードネーム U.N.C.L.E.おもしろかった。以前観たときもおもしろかったと記憶するが今回はさらなるおもしろさをおぼえる。ダンヒルのスーツとポールスミスのスーツが同じに見えても、細部を知ると違いが分かってくるのと同じ感覚なのかなと思わせるものがある。以前観たときはモリコーネ風音楽もタランティーノ風もどきのサスペンス・アクションのありがち流行りぐらいにしか思わなかったが、リッチーがレオーネ好きであること知りえれば、ソロとクリヤキンのやり取りもその心理掴み合戦まさにレオーネばりに合点してくる。仲間同士でもの騙しあい心理合戦、リッチーの群像劇にはうってつけ。暗いバックグラウンドを持っていても貴族的な精神性、こうしたものあまたある映画キャラに表されても、ガイリッチーにおいてはいかにもな英吉利魂に見えてくる。アメリカとソ連が出てきてもやはりリッチー、最終的にはイギリスにメインをかっさらわせる。続編を見たくさせるエンディングであるが、これはスパイ映画の続編効果を思考させるコンセプチュアルなアート的志向であり、あまりおもしろくないシャドウゲームのエンディング、ジ・エンドの後に?をカメレオン効果迷彩服するホームズが書き込むことと同じようなしゃれっ気なんだろうと、リッチーの悪ふざけなブリティッシュユーモア気付かせられる。

ベイビー・ドライバーおもしろかった。これを先に観てからサイモンペグもの観て、それからこれに返ってみると、ハードに痛み伴いボイルドされたエドガーライトだと違いに気付かせられる。されど、スラップスティックすぎるものもされないものもそれらに関わらず、世界に潜むヒリヒリしたものがライトのテクストを支配している。この作品はヒリヒリが他のよりはっきりしている違いはある。主人公の家庭的バックグラウンドが語られること、主人公とケヴィンスぺイシーとの間にある取引、それらによって現実の重みが他の作品よりは明らかなカタチとして露呈されてる。ベイビーの情のもろさはジェイミーフォックスが指摘したように命取りになるが、それこそ赤ちゃんという名に由来される、無軌道だが誠実で感受性ビンビンな情緒不安定性であり、あの内幕裏切りも、それがいきなり爆発したことにすぎない。彼は殺人マシーンになることはできないのであり、それゆえのヒューマンなのだ。桑畑三十郎に刀を渡したらおしまいなように、ベイビーにクルマを渡したら向かうところ敵なしに、ラストは彼が得意とする武器、クルマで最大の強敵と闘う。ある意味、共感できる仲代タツヤとの戦いと全く同じなのである。今回気付いたけれど、母の面影を追う的なところが最初の方から表されていたんだな。冒頭のコーフィー4つをカフェで買うところ、店の外側、ブロンドの女性が後姿を見せ過ぎ去ってゆき、その後、デボラと出会うカフェで彼女が登場するすぐ前に、あのブロンド女性と似たような後姿を見せる女性が出てくるが、それらが残像として−そしてそれは母の残像から受け継がれる−繋がりデボラに帰着する。ラストはハッピーエンディングと記憶していたけれど、そうかもしれないしそうではない主人公の想像かもな曖昧さなんだな。この作品観てたら、A級ではないけれど、かぎりなくB級に近いA級なセンスの、ジョンミリアスやウォルターヒルを観たくなってきた。
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