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2020年08月12日13:13

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アカルイミライ


『アカルイミライ』
ファーストフード店で紙くずなどをゴミ箱に入れようとするとき、ありがとうございますと言って店員さんが代わりにやってくれるときがあるけれど、そのとき店員さんはなにを思って片付けてくれているのだろうか。選択問題です。適するものと思われるものをお選びください。
 A. モタモタすんじゃないよ。お店が回らなくなるだろう。プロにまかせろってんだよ、このクズ野郎。
 B. お客様の貴重なお時間を割かせるわけにはいけませんわ、わたくし一生懸命ご奉仕させていただきます。
 C. どちらでもない。
 D. マニュアルに書かれてあるから。
 E. そのどれでもない。
  見えない未来を見る若者たちにアカルイミライを託す。先行きの見えない映画でこちらをさ迷い歩かせるセンスである。さすが黒沢清、アンゲロプロスが好きなだけのことはある。川の向こうから、レーニン像が横たわる大型船がやってくるかのようだ。最初の方はビデオ映画のような画質で、それが寧ろ生々しさがあったりするものの、当時たくさんあったデジタル映画の画像を思い出させ、ちょっと陳腐に見え気分はブルーに陥る。でも、いつの頃からか、オダギリジョーと藤竜也とが会ったころからか、暗さから転じて明るさが出てくるときに、あら、最初の方の画像とは違うと気付いたのだけれど、後で調べると、これハイヴィジョンでやってるのね(家庭用ビデオも使っているようである)。
  軽薄な空虚感の工場で正社員になること委ねられるも、前景にいる正社員とおぼしき男たちの暗さが後景の浅野とオダギリの白さとクッキリとコントラストされる。されど、見えない未来の不毛は都会を漂う。不毛な都会、ヒトは育ち、やがて老いる。藤竜也は、かつての若者だ。彼が言うように、彼を囲むもの全てが現実なのである。都会の現実で、光るクラゲが大洋に出ていくように、ラストの若者たちもミライへと歩いていく。棘は時には人を不幸に陥れ、時にはその輝きで魅了し、ヒトが生きていく。アカルイミライとは、愛が届けられようがそうでなかろうが、ヒトが歩むということである。殺された夫婦から離れ、女の子が歩いていく。若者たちが街を歩いていく。
  幽霊がモノを運んだりして働くわけないから、きっと生きてるんだろうけれど、でももしかしたらあの家で浅野ともども地縛霊してるかもしれない藤竜也、それゆえ、もしかしたらあの川辺でもはや息絶えているのかもしれない、倒れる寸前に万歳をしているようにも見える、そうした曖昧さも出しているのかな。藤竜也はきっとオダギリと浅野に愛を与えてくれた。希望に愛を与えてくれた。個の自立を願う、という以上に、個がそれぞれいてこの社会を成立させるという希望がそこにはある。



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