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2020年07月17日21:56

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映画日記『SKIN/スキン』

2020年7月16日(木)

『SKIN/スキン』(2020年)
監督:ガイ・ナティーブ
今池・名古屋シネマテーク

同じ監督による、同名タイトルの短編と長編の2本立て。
正直なところ、出来としては長編より短編のほうが良い。
15分ほどの短編のほうは、白人至上主義者でスキンヘッドに刺青だらけの男が、ちょっとしたトラブルがもとで、とんでもない災難に見舞われるというストーリー。
ブラックなショート・ショート小説みたいな作りだった。
途中に出てくる、ちょっとした賭け事の顛末が、ラストに効いてくる。
ブラックすぎて、笑っていいのかどうか、困ってしまった。

上記の短編は、長編の『SKIN/スキン』を作る資金集めのために製作されたという。
その長編『SKIN/スキン』は、実話を元にしている。
主人公は短編同様、スキンヘッドに刺青だらけの白人至上主義者の男だ。
そんなゴリゴリのレイシストが、3人の少女を持つシングルマザーと知り合い、家族となる。
彼は妻と子どもたちのために、自分の人生をやり直すことにした。
しかし、それは少年時代から面倒をみてもらったレイシスト集団を裏切ることになる。
仕事を得るには、肌に染みこんだ刺青を除去しなければならない。
レイシスト集団の暴力的な報復と、除去手術の苦痛が男に襲いかかった・・・・

才気走った短編と比べると、長編のほうは、ある意味たんたんとした作りだった。
とはいえ、ガイ・ナティーブ監督は長編を撮りたいがために短編を作ったのだから、彼の本命は長編のはずだ。
短編と長編ともに、レイシストの男が“変わる”話だった。
ただし、“変わる”意味合いがまったく別物だ。
短編はネタバレになるので、どう変わるかは書けない。
長編のほうは狂信的なレイシストでも、改悛し、真っ当な人間に変わることは可能であると訴えていた。
たとえば、負け犬ボクサーの成長を描いた『ロッキー』のように、「人は変わることができる」というのは、古今東西の多くの映画が語り続けてきたテーマだ。
多くのアメリカ映画の中で、差別と分断の張本人という、もっぱら敵役になっている白人至上主義のレイシストでも、「変わることはできる」という主張に、盲点をつかれたおもいだった。
そのために、あえて極力事実に即した、たんたんとした描き方をしたのだろう。
才気ある監督が、愚直に撮った1本。


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