88年のカラックスのインタビューで、次回作であるポンヌフでは、ミュージカルのスタイルの作品になるだろうとあって、もうこの頃からそうしたものを求めていたのかとなり、公開されるアネッタ楽しみとなり、また、そのインタビューでは、年長者である男の役をマーロンブランドにオファーしているとあったが、ブランドに似合いそうな役を感じられるのあった。けっきょく、違うアクターの方が演じられていたけれど、この方はフランス演劇界の名うての大物の方らしい。『ポンヌフの恋人』、最初観たときはナルシーすぎてついていけず、その後は何度か観たけど、こないだ観たときは、メランコリーな題材に遊び心あるのが散りばめられ、なんなんだこれは、となったけど、今回は何度も観ているからか、ショットひとつひとつを追う余裕があって、同じようにナルシーにメルシーなフランス人のゴンドリーと同時に観ているからだろう、遊び心もメランコリーも一緒くたになってるのが、おもしろい意味での、なんだこれは、になる。相変わらず今回も、ひとりになったら寂しいという駄々っ子に見えたアレックスだけれど、ありえないけど共同体を頑なに信じセルフサクリファイスを貫くプロテスタントなアメリカ映画の主人公に比すれば、フランス映画の主人公は自己中で清々しいところがある。ジュリエッタビノシェは悲恋をしつつも、金持ちのお嬢さんで家族から目が治るよと張り紙がされているのかとこれまでは想像していたけど、今回の印象は、彼女もまたアレックスと同じような生い立ちがあるのか、と感じられてくる。ダイナマイトを顔に巻き付け爆発したり、或いはアランドロンなんかの印象がフランス映画にはあるからか、あのハッピーエンドは違和感あったりしてたけど、破綻した美しさのこの作品ゆえに、なんだこれは的に今回はおもしろく感じられたのである(カラックスはアンハッピーエンドを構想していたが、当時の候人であり主演もしているビノシェに、これはハッピーエンドにすべきよと説得され、そうしたとある)。描かれる男女の愛は基本同じでも、シネマヴェリテなホームレスのシーンを入れたりあれこれ、作品ごとにスタイルが違うのがカラックス、絵的におもしろいな、ともなる。
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