『ひめゆりの塔』
忠臣蔵もこの作品も、オリジナルもリメイクも今までどれも観るのを避けていたが、邦画の流れではじめて観る。おもしろかった。幼気な女学生たちが悲劇を被りながらの美談だけというわけでも、無益な戦争に対するアンチテーゼだけ、というわけでもない。東京内地言葉というのは当時の状況であれば仕方ないのであるし、悲惨な状況のなかでも青い山脈のように健気に笑い合うのも、、でもこれはプライベートライアン或いはアポリカプスなうみたいなのが絶対リアルだと言い放つのも危険だし、本当に健気にどんな状況でも笑い合おうとしていたのかもしれないけれど(現在の状況が、その絶対リアルを頑なに肯定するとすれば、あの爆撃のさなかに笑い出すのはとうとう気がおかしくなったのか、にも捉えかねない、ちょっと一瞬、ひいたところもある、演出的に)今井正、何よりもエンタメを流石に見せてくれる。2時間、目を絵に釘付け貼り付けにさせる。緊迫だけでなく、軽やかなエチュードがフレーミングとして切り取られていく。それがやはりリアルなのである、と映画的に提示する。そして、今井正らしくイデオロギーの批判。ヤマサツが”日本”というストラクチャーへの批判が描いてきたかのように私的には見えるのに対し今井、嘘をついて民を騙したことへのナショナル批判だけではなく、この作品で表されるような国家間が引き起こすような、透明ではなく見えないイデオロギーがじわりじわりと民を囲んで攻撃する不条理な状況を差し出している。
ログインしてコメントを確認・投稿する