『隠し砦の三悪人』
七人の侍や用心棒のようにエンタメ寄りの作品と思ってかつては観たからか、そうした考えのもと、義を重んじない人物たちが出てきて、あまり爽快な感覚をもてない作品の印象だったが、今回はとてもオモシロく痛快に感じる印象で観賞を終える。太平と又七は仲違いしたり嘘をついたり卑怯だったりするけど、そうしたところはとても人間臭い。そう思える今回である。全体的にも、エロールフリンものに比すれば意外性あれど、やはり予定調和な運びであり、そうした意味では、安心したハナシの流れであり、ラストのプリンセスたちが正体を明かすところ、せり出てくるところ、ふたり組も思いやりを互いに持てて、めでたしめでたしなところ、トータル的にいたってファンタジー、映画的現実逃避を与えてくれる。それにしてもクロサワ、用心棒なんかもそうだけれど、考えれば多くの作品において、ワル以上にワルという主人公を描いていると思える。そうした意味では、酔いどれ天使にしてもこれらにしても、ピカレスクロマンが表されているのである。
階段を下って武士たちを追い立てていく群衆のシーンは圧巻だった。フォードも好きなんだろうけれどクロサワ、それ以上にエイゼンシュタインからのソウルを受け継いでいるのか、と垣間見れるものあり。
上原美佐の雪姫、黒澤の演出、すなわち動きづけ、メイク、モンタージュにより美しさマグニフィセント。義を表す三船や藤田進もさることながら、やはりこの作品を面白くしているのは千秋実と藤原釜足によって生み出される人間臭さであろう。
七人の侍における農民へのシンパシーもそうだが、太平と又七へのクロサワのそれはただ単に弱者へ向けたものとだけでは、あまりにも単純明快すぎて片付けられないものがあり、彼のテクストにおけるそうしたものを考えるのは面白いだろうなと思える。
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