2015年6月25日(木)
『ひばり・チエミの弥次喜多道中』(1962年)
沢島忠:監督
岐阜柳ヶ瀬・ロイヤル劇場
美空ひばりと江利チエミが共演したタイトル通りの娯楽映画。
江戸の芝居小屋で下足番として働いているおきゃんな町娘二人組が、麻薬密売事件に巻き込まれたあげく、弥次さん喜多さんとなって東海道を西へ進み、京都にたどりつくという話。
どうして町娘が、弥次さん喜多さんになる必要があるんだ?
なんて、野暮なことを言ってはいけない。
明朗な時代劇コメディに人気者ふたりが並ぶなら、弥次喜多になるしかないだろう。
ひばりとチエミが唄って踊るミュージカル。
はねた芝居小屋での、麻薬の密売人たちと南町奉行所の面々との大立ち回りを、ミュージカル仕立てのドタバタにしたシーンが見どころだ。
江戸の大通りの雑踏シーンに、ものすごい数の大部屋俳優たちが画面を埋め尽くす。
エキストラとは呼べない。ひとり一人がちゃんと芝居をしている。
その大群衆の中を、ひばりとチエミとカメラが、左へ右へと小気味よく動き回る。
なんというか、画面がスウィングしている。
ひばりが生まれつきの近眼という設定。
目をすがめた顔が、けっこう可愛い。妙ちきりんな眼鏡もおかしかった。
ひばりとチエミがデュエットすると、ザ・ピーナッツに聞こえてくるのもおかしかった。
奉行所与力に扮した名優・千秋実の娘姿も一見の価値あり。
鴨川の河原で野宿することになったひばりとチエミが、「幸せになろうね!」と誓いあうシーンがあった。
その後のふたりの人生を知るものにとって、この時だけが、切なくなる。
頭を空っぽにして楽しんだ1時間半。
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