80年新日本プロレス「ビッグ・ファイト・シリーズ」最終戦は4月4日、神奈川県川崎市体育館(テレビ生中継、観衆4,200人超満員発表)大会。
メインイベントはこの日がタイトルマッチ3連戦の締めとなる藤波辰巳がマイク・グラハムの保持するNWAインターナショナル・ジュニア・ヘビー級王座にリターンマッチを挑みました。
試合は61分1本勝負、前半はMグラハムが得意の父エディ譲りの足4の字固め狙いでグラウンドで足攻めを展開しましたが、藤波は上手く逃げ切り、バックの取り合いを制して8分33秒、ジャーマン・スープレックスホールドでフォール勝ち、王座返り咲きを果たしています。
なお、試合時間を「18分33秒」としている文献もありますが、テレビ生中継で私はハッキリ見ておりそんなロングマッチではなく、8分が正解です。
セミファイナルは前日、蔵前国技館でNWFヘビー級王座を賭けて激闘を展開した猪木とスタン・ハンセンがノンタイトルのシングルマッチ60分1本勝負で対戦、10分7秒に両者リングアウトの引き分けとなりました。ハンセンもまた、先の「新春黄金シリーズ」に来日したダイナマイト・キッドと同じく「負けても商品価値の落ちない、どころかむしろ上がるプロレスラー」になってきていました。
セミ前では前日の4月3日付で正式に新日本プロレスの所属となった剛竜馬がこの日所属としての第1戦を行い、木戸修と組んでエル・グレコ&エル・セルヒオ組のロス・エクソティコスとタッグマッチ45分1本勝負で対戦、9分9秒、木戸がグレコを体固めで破り、剛&木戸組が勝ち、剛は入団第1戦を白星で飾っています。
長州力はアイアン・シークとシングルマッチで対戦し7分47秒、サソリ固めでギブアップ勝ち。
坂口征二&ストロング小林&木村健吾組vsスーパー・デストロイヤー&バッドニュース・アレン&ベビー・フェイス組の6人タッグマッチは10分39秒、木村健が回転エビ固めでBフェイスからフォール勝ちを奪いました。
山本小鉄引退試合は星野勘太郎とのヤマハ・ブラザーズで国際プロレスの鶴見五郎&大位山勝三組の独立愚連隊と対戦、ダウンした鶴見を星野がアシスト、小鉄がコーナーポスト最上段に昇り、万感の思いを込めての最後の「人間爆弾」ダイビング・ボディプレス、12分26秒、小鉄が鶴見を体固めで破り、自力フォールで引退試合を勝利で飾りました。
その後、スーツ姿に着替えて来た小鉄の引退セレモニーが行われ、猪木が新日本プロレスの創業メンバーだった小鉄の労をねぎらっています。
グラン浜田は小林邦昭とシングルマッチで対戦、8分12秒、体固めでフォール勝ちしています。
この日の「ワールドプロレスリング」生中継は冒頭に猪木vsハンセン、その後にディレイで録画してあった小鉄引退試合と引退セレモニーを流し、最後にメインイベントのMグラハムと藤波のNWAインターナショナル・ジュニア・ヘビー級選手権試合が生中継で放送されました。
シリーズが終了した2日後の、4月6日日曜日、埼玉県所沢市の西武球場で東京スポーツ新聞社主催による新日本プロレス対全日本プロレスによる両団体親善のソフトボール大会が開催されました。私はこれは観に行っています。
前79年8月26日、日本武道館での「プロレス夢のオールスター戦」を大盛況に終わられた主催者の東京スポーツでしたが、メインイベントの馬場&猪木組vsアブドーラ・ザ・ブッチャー&タイガー・ジェット・シン組終了後、猪木はマイクを持ち、観客席に向けて「馬場さん、今度2人が同じリングに立つのは対戦する時です!やりましょう!」と事前の打合せのないアピール。
これには馬場も内心は面白くはなかったでしょうが、場の雰囲気を壊しても仕方なしと思ったか、「よし、やろう!」と回答、抱き合って健闘を称え合いました。
が、しかし、後日この猪木のパフォーマンスに馬場が「やっぱり猪木は信用ならない」とばかり態度を硬化させてしまい、両団体の関係は再び元の対立ムードに。
オールスター戦の第2回開催をと目論む東スポとしては「このままではまずい、両団体の友好ムードを修復しなければ…」という意図の元、ソフトボール大会企画されたと思われます。
入場無料で東スポ紙上で往復はがきによる読者招待があり、西武球場に3,000人の観客を集め、午後2時に試合開始となりました。
新日本プロレス勢が揃いのユニホームを新調したのに対して全日本プロレスは普段通りのオレンジのジャージ上下姿、それだけで両団体の試合に臨む姿勢がハッキリしていたと言えます。
新日本プロレスの先発メンバーは1番小鉄、2番倍賞鉄夫リングアナ、3番長州、4番猪木、5番は青梅農林高校時代は野球部に所属していたS小林、6番坂口、7番永源遙、8番が木戸、9番が木村健。他にDH、控えで星野、デビューしたばかりの仲野信市、練習生で中学校時代は野球少年だった高田伸彦(当時17歳)。
全日本プロレスは先発メンバーが1番伊藤正男、2番ロッキー羽田、3番大仁田厚、4番越中詩郎、5番タイガー戸口、6番大熊元司、7番グレート小鹿、8番ミスター林、9番百田光雄。他にDH、控えは馬場、鶴田、ジョー樋口レフェリー、淵(渕)正信、和田京平レフェリー、原軍治リングアナウンサー。
トップどころをズラリと先発に揃えた新日本プロレスと馬場、鶴田の両巨頭が先発に入らない全日本プロレス。ここでも「勝負事は勝つ」新日本と遊びモードの全日本の差が出たか?ピッチャーは新日本が猪木、全日本が大熊。
試合開始早々、新日本プロレスチームが1回表に8点を入れる大荒れの展開に。その後も草野球らしい乱打戦が続き、新日本プロレスでは長州と木戸が2本、猪木、木村健、倍賞リングアナが各1本、全日本プロレスでは越中が2本、途中から出場の鶴田が1本の計10本のホームランが乱れ飛び出しました。
この試合のハイライトは何と言っても東スポの謳い文句にあった「猪木が投げて馬場が打つ」のBI対決、6回裏、猪木が馬場を三振に打ち取り、ソフトボール対決は猪木の勝利に。
最終回の7回表。満を持して馬場がマウンドに上がります。やはり元巨人軍投手だけあって全てが別格。先頭の小鉄から軽々と三振を奪ったところで、続く倍賞リングアナに代わり、ピンチヒッターで当時の猪木夫人、倍賞美津子さんがサプライズ登場しています。
馬場は先ほど猪木に三振を喰らった怨みからか何と美津子さんにデッドボールをぶつけて場内は大爆笑。猪木がベンチから立ち上がって怒りのポーズを見せましたが顔は満面の笑み。
猪木は5打数4安打、と大当たりで「猪木はプロレス以外は運動音痴」という都市伝説を覆す大活躍ぶり。試合結果は22対5という大差で新日本プロレスチームの快勝となりました。
試合後、主催の東スポが贈る各賞は勝利者賞が新日本プロレス、敢闘賞が全日本プロレス。勝利監督賞が猪木、最優秀投手賞は馬場。
ホームラン賞は長州、猛打賞は木戸、ハッスルプレー賞が越中、韋駄天賞は小鉄、ピンチヒッター賞が倍賞美津子さん、盗塁賞は大仁田厚、三振賞は馬場、馬場はダブル受賞。
暴投賞&バンザイ賞が林、応援団長賞はゲームに出てない荒川真と、こちらは「東スポプロレス大賞」ばりに両団体のパワーバランスに配慮した各賞受賞となりました。
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