『フライト』はおもしろかったな。劇映画なんだけれど、交響楽のようなセンスである。ヴィスコンティとケンラッセルぐらいしか物語を交響楽することやれるヒトいないと思っていたのだが、ゼメキスはやっちゃてる。前半はヤク中の女性とともに、なにか世界に取り残される感覚、シャマランと共有しているもの感じたけれど、後半の部屋に入ってきての立ち姿、それからベッドに座って彼女をじっと見て、この世界から出ようというワシントンの演劇調にじっと見る眼差し、そして虫の鳴き声、なんだかテネシーウィリアムズしてるな、となるも、ドラマだけど格調あるな、となり、ホテルの部屋にこもってもドアがガタガタなるので、その先に出るとき、私はゼメキスには『ホワット・ライズ・ビニース』で急に変身するものに出会ったことあったので、ドアの向こうの暗い部屋には霊がはびこってんじゃないかと緊張したけれど、ボトルをサッと取り上げるところ、化け物に変化するハリソンフォードと同じ表象性が生まれていると感じ取った。悪の誘惑はここにも活かされている。ラストの展開、あそこまでひっぱてきてこれかとなるも、今になってみれば『グッドフェローズ』の仲間への裏切りの意外性が面白く感じるけれど。決断はアメリカ映画の罪を認める常套句としてでなく、人として受け入れられるものであり、だからこそラストの息子との会話がワークする。エモーションの変化が音と映像に音楽している。普通の劇映画なんだけれど、交響楽のようであった。
デンゼルワシントンはいい奴やるにしても悪い奴やるにしても、自身の弱さに目を向けさせ、強さを知るというホンをまずは選ぶ人だろうから、このスターに合っているドラマ映画である、と言える。アメリカンとしての同胞に向ける姿勢、いつも変わらずにある。
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