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2018年12月08日21:27

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さらば冬のかもめ


『さらば冬のかもめ』
 映画は支配する道具機構と化した歴史に反抗する。ジョンウェインの映画のように、騎兵隊の伝令兵がヒーローを呼びに駆けつけるようなエスタブリッシュ・ショット、しかし伝令兵が呼びに行くのは反逆児ニコルソンであることがその後に伝えられる。ネイビーのお偉いさんのご婦人ご企画のチャリティーショーで、献金箱から40ドルをくすねようとしただけで、若い水兵さんラリーは8年の刑を被ってしまう。そんな若い水兵さんと彼をポーツマスの刑務所に送り届ける二人組のベテランとの珍道中が、この作品である。その珍道中において、弱者を痛めつけるシステムとそこに生きる人間の姿が笑いとペーソスを伴って炙り出されていく。40ドル盗み出そうとしただけで8年の刑期はクレイジーだと言うバタスキー、しかしシステムに生きる身としてはラリーをムショにちゃんと送り届ける職務を果たさなければならない。矛盾に対するバタスキーことバッドアスの憤りをニコルソンは光らしてみせる。ニコルソンもまたこの時代を表す表象として在った。ネイビーの仲間への義、慣例的なものだろうけれどアーミーやマリーンとの、やりかますぞ的な喧嘩、そしてシステムを超えた人としての生き方を仲間同士の感情の綴れ愛ある珍道中にアシュビーは表してみせる。セックス、酒、ナンミョーホーレンゲッキョー、バクチにグラス、と快楽に明け暮れながらの旅が日々のもつ哀愁を浮かび上がらせる。オーバーラップする風景、素敵でした。さすがエディター出身のアシュビー、そのオーバーラップは時間経過を表しながらも、豊穣な詩情をも奏でている。
 手旗信号でヤンキー、ブラボー、そしてバイバイするのは面白い。そして、絞首台に登っていくように、刑務所の壁の向こうに泣きじゃくりながら入っていく若者と、盟友を見つめるヤンキーたちの姿が哀しすぎる。映画は支配する道具機構と化した歴史に反抗する。根源はそこにおいて発見されなければならない。



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