75年新日本プロレス「闘魂シリーズ第2弾」開幕戦は10月24日、茨城県水戸市民体育館(テレビ生中継、観衆3,500人満員発表)大会。
来日予定だったベアキャット・ライトは搭乗した飛行機が遅れ、開幕戦に間に合わないという事態になりました。73年の全日本プロレス来日キャンセル、死亡説、はたまた黒人迫害集団「KKK」から生命を脅かされていたというエピソードからも「本当に来るのか?」とファンの心配を煽りました。
メインイベントは北米タッグ王者チームに復活した猪木&坂口征二組の黄金コンビがミスターX&リッキー・ハンター組と対戦。先シリーズで長期欠場に追い込まれた原因となったウィルス性関節炎(蜂窩織炎)を発症した左膝を外国人チームに痛めつけられる猪木。
どうやら「猪木の弱点は左膝」という情報が外国人レスラーの間では広まっているようです。Xは猪木にリング中央で足4の字固め。ガッチリ決まり、猪木は自力では外せず。苦悶の表情をうかべる猪木。
身体を回転させてXと共に場外に同体で転落。場外でもXの足4の字固めは外れず、1本目は16分20秒、猪木とXが両者リングアウトの引き分けとなり1−1。これは猪木にとっては負けに近い屈辱の両リンとなりました。
決勝の2本目は6分10秒、猪木がハンターをジャパニーズ・レッグロール・クラッチホールド(回転足折り固め)でフォール。こちらは固める前にハンターの両足を足4の字固めのような感じに畳み込んで丸め込む「改良型」で珍しい形で決まりました。
メインイベントの最中、リングサイド最前列に着席して試合を観戦する私服姿のBライトがテレビに映りました。「本当に来た!」とファン、関係者は胸を撫で下ろしました。
メインイベントは2−1で猪木&坂口組が勝ちましたがXの動きが良く、開幕戦の試合ぶりが高く評価されて新日本プロレスでは後半戦にイワン・コロフ、ビル・ロビンソンが参戦するまでの暫定エース外国人の扱いにしました。
セミファイナルはストロング小林が初来日のイワン・カラマゾフと対戦、パワーファイター同士の真っ向力勝負となり、11分34秒、S小林が逆エビ固めでギブアップ勝ち。カラマゾフは開幕戦が最初で最後のテレビ登場で、テレビ生中継はこの2試合。
フィデル・カステロは星野勘太郎を7分25秒、体固めで破り、ラウル・カステロは柴田勝久に8分33秒、反則勝ち。
開幕戦に間に合わなかったBライトは第2戦の10月25日、神奈川県伊勢原市食品市場(観衆3,300人満員発表)大会から試合に出場、来日第1戦は永源遙とのシングルマッチで4分2秒、体固めで完勝しています。
伊勢原大会のメインイベントにはS小林が出場、坂口とのパワーファイターズでミスターX&カラマゾフ組と対戦、1本目は16分34秒、XがS小林を体固め、2本目は2分46秒、S小林がXに反則勝ち、決勝の3本目は5分53秒、坂口がカラマゾフから逆エビ固めでギブアップを奪い、2−1で坂口&S小林組の勝利に終わりましたが。S小林はXからフォールを奪われたものの、取り返すことは出来ず。
この日、星野勘太郎&山本小鉄組のヤマハ・ブラザーズとフィデル&ラウルのカステロ・ブラザーズのマニア好みのタッグマッチが組まれ(30分1本勝負)、12分34秒、ラウルが小鉄を体固めに決めてカステロ・ブラザーズに軍配が上がりました。
10月26日、埼玉県新座市タナカボウル(観衆2,900人超満員発表)大会ではS小林はハンターとシングルマッチで初対戦し11分39秒、両者リングアウトの引き分け。ハンターは実力者には違いありませんが、中堅どころのピークを過ぎた選手であり、このシリーズ、タイトルに挑戦する訳でもないので、初対決であっさり勝って欲しかったところですが…。
新日本プロレスの巡業は関東から東北・北海道へ。10月27日、盛岡・岩手県営体育館(観衆2,800人発表)。同会場は仙台と同じくS小林が在籍していた時代、TBSネットが強く、国際プロレスが日本プロレスを興行成績で凌駕していた地区。S小林はこの日、Bライトとセミファイナル45分1本勝負でシングルマッチで初対決、6分36秒、リングアウト負けを喫してしまいました。
10月29日、午後3時より永田町の東京ヒルトンホテル(キャピトル東急ホテル)で百田家が記者会見を行い、全日本プロレス代表の馬場、国際プロレス代表の吉原功が同席して、全日本プロレス、国際プロレス、百田家預かりとなった日本プロレス(団体は活動停止しており、名前だけ)が参加して、12月11日、日本武道館で「力道山13回忌追善特別大試合」を行うと発表しています。
猪木はビル・ロビンソンとの対戦を既に同日に蔵前国技館で開催すると発表しており、不参加を百田敬子未亡人に伝達していました。75年10月31日付(30日発行)の東京スポーツから各人のコメントを引用してみたい。
大会主催者・百田敬子力道山未亡人のコメント
「3団体の皆さんが快く賛同してくださって嬉しい限りです。具体的なプランも決まりホッとしていますが、残念なのは新日本プロレスの猪木さんが参戦してくれない事です。7月半ばに猪木さんと話し合い、たとえその日試合が組まれていたとしても参加するとおっしゃっていたのに…誠に残念です。」
百田家後見人、リキエンタープライズ代表山本正男のコメント
「4団体全てが出てくれると本当にこれ以上の喜びはないのだが、猪木君からは10月9日蔵前国技館で参加の意思がないと聞かされた。人を介して話し合ったが快諾を得ないままに終わった。力道山家の統一見解として、今日をもって出てもらわなくて結構だ。」
馬場全日本プロレス代表のコメント
「参加を決めた以上もちろん全員(参加)です。もっとも私は、大木(金太郎、この会見の翌10月30日、蔵前国技館で対戦)に負けたら出ません。これだけの大会、覚悟はできてます。ちょうどオープン選手権大会開催中なので、外国人選手も出場させます。」
吉原国際プロレス代表のコメント
「ウチとしては所属選手全員が参加します。」
まさに馬場がS小林を引き抜かれた上に猪木に3度完敗させられ「国際は新日本より弱い」とイメージをファンに植え付けられ、さらにエース、ラッシャー木村の挑戦を「格が違う!」と一蹴され、猪木に怨みを抱く吉原社長、力道山家を巻き込んで、猪木、新日本プロレスを日本マット界で孤立させることに成功、前年、猪木に挑発を繰り返された屈辱に対し、報復に出ています。
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