ヒッチコックはすでに引退していたケーリーグラントを説得し『泥棒成金』で主演に迎え、その後、グラントは第二の黄金期を迎えるが、ワイルダーもグラントに『麗しのサブリナ』でボギーが演じた役を、そして『昼下がりの情事』でゲーリークーパーが演じた役をオファーしていたのだが、実現はなしえなかった。ワイルダーとグラントのチームは観たかったけれど、『麗しのサブリナ』はスケジュールの都合で実現せず、『昼下がりの情事』は中年男性がうらわかき女性を誘惑するのは自身のイメージを壊してしまうという理由で断ったと聴く。『昼下がりの情事』は、それまでほとんど真面目な善人ばかりを演じてきたクーパーをプレイボーイにキャストすることで、そのギャップの妙も作品を成功に導いたように思える。ギャップの妙はレイミランドにも、ヒッチコックとワイルダーによって成される。それまで二枚目ばかりを演じてきたミランドは、ワイルダーの『失われた週末』でアルコール依存症の作家を演じ、ここまでアル中はいけないことなのかというぐらいに作品はニューロティックに表現され、オスカーを得ることとなる。ヒッチコックの『ダイヤルMを廻せ!』では殺人を企てる夫を演じ彼自身も気にいる代表作の一本となる。ところで、ミランドが主演のワイルダー初期の作品『少佐と少女』であるが、未見であるからウィキペディアに載ってるあらすじにざっと目を通したんだけれど、さっぱり絵が浮かんでこない。ヘンテコなハナシであり、ワイルダーはやはり奇妙なユーモアの持ち主であること、全くもって納得してしまう。ヒッチコックもワイルダーも世代的に、というか、時代的に、フロイトの影響をもろに受けたとこあろうから、成りすます、或いは変装というもの(江戸川乱歩にも通じるようなあれ)にはきっととても関心があったことであろうと思われる。なーんちゃって。
『失われた週末』
『ダイヤルMを廻せ!』
『歩け走るな!』
グラント最後の作品。どんな作品なんだ! 森繁久弥も出てくればいいのに。
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