本●『「青春18きっぷ」ポスター紀行』(講談社)
込山富秀・著
読了。
名古屋市の図書館だけでなく、とうとう愛知県図書館にまで手を広げてしまった。
けっこう鉄道関係の本が並んでいて、さっそく鉄橋の写真集といっしょ借りてきた。
青春18きっぷの駅貼り宣伝ポスターが、1990年夏から2015年春までの25年間分、74枚が収められている。
いちおう「青春18きっぱー」なので、見逃せない一冊。
ページをバッと開くと、左が丸ごと青春18きっぷのポスター、右に撮影場所と制作意図やとっておきのウラ話などが載っている。
青春18きっぷを利用しだしたのが最近のことなので、初めて見るものばかり。
鉄道関係のポスターということで、撮影したのは鉄道写真家たちだろうとおもっていたら、1990年代には橋口譲二や荒木経惟といった気鋭の写真家たちが撮っていたり、桜沢エリカや安西水丸が描いたイラストのポスターも作られていた。
中でも、荒木経惟の旅に出た少女の艶めかしさが漂う作品が絶品。
ウラ話からひとつ。
いまは災害のため長期運休になっているJR九州・日田彦線の大鶴駅での出来事。
ローカル線らしいポツンとした良い雰囲気のホームにカメラを向けると、うしろに製材所があった。
黒澤明監督なら、「あの邪魔な製材所、さっさと取り壊してしまえ!!」と、助監督たちを怒鳴り散らしたことだろう。
しかし、そんなこともできない。
普通の目線の高さで撮ろうとすると、どうしても製材所が写ってしまう。
そこで、カメラの三脚をギリギリまで低くしてみたが、それでもダメだった。
しかたないので、地面に穴を掘り、そこから撮影したという。
黒澤明というより、加藤泰だった。
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