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2019年12月02日01:34

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映画日記 『THE INFORMER/三秒間の死角』 『i−新聞記者ドキュメント−』

2019年12月1日(日)

『THE INFORMER/三秒間の死角』(2019年)
監督:アンドレア・ディ・ステファノ
名駅・伏見ミリオン座

主人公のピート・ゴズローは、FBIの手によって刑期を短くしてもらったかわりに、今は情報屋として働いている。
ところが、潜入していた麻薬組織の取引現場で、手違いからとんだトラブルを引き起こしてしまった。
トラブルのせいでピートはNY市警から目を付けられる。
いっぽう、組織のボスは、ピートのせいで麻薬密売へのNY市警の締め付けが厳しくなったことに怒り心頭だった。
ボスは、ピートに仮釈放を取り消しにして、もう一度刑務所に入り、所内で麻薬の販売網を作るようにと冷たく命じた。
所内で彼がFBIの犬とバレれば殺される。
しかし、ボスの命令に従わなければ、妻と娘の命がない。
八方ふさがりのなか、絶体絶命のピンチにおちいったピートは、一か八かの大勝負にでるのだった・・・・

潜入物のサスペンス映画。
主人公が外堀を埋められるようにして、どんどんと窮地におちいっていくあたりはハラハラする。
“三秒間の死角”というのは大げさだし、もっとうまい撮り方があるような気もするが、たたみかける終盤を、身を乗り出して見ることになった。
どちらかというと、大作というより小粒だ。
昔風の「B級映画の佳作」という言い方がピッタリだ。


『i−新聞記者ドキュメント−』(2019年)
監督:森達也
ミッドランドスクエアシネマ2

東京新聞の望月衣塑子記者に密着したドキュメンタリー。
まずは、「モリカケ」「辺野古」「首相のお気に入りライターの不祥事もみ消し事件」といった、ここ数年の出来事のおさらいだった。
少し時間をおいた今になって見ると、それらの出来事がすべてうやむやのままだ。

次に本作を見ながら、以前にも書いたとおもうが、安倍首相の大叔父にあたる佐藤栄作首相の退陣会見を思いだした。
会見の場に居合わせた新聞記者たちを佐藤栄作は追いだしてしまった。
テレビのニュースで、大声で「新聞は嫌いだ」みたいなことを言い、空っぽになった会見場で佐藤栄作が、TVカメラに向かってひとりでしゃべっているという異様な光景を見ることになった。
かつては権力者と新聞記者たちの間で緊張関係があったのだろう。
新聞記者ではなく“新聞記者たち”だ。
望月衣塑子記者ひとりが「ヒーロー」というか、「ヒロイン」になっているのが、どうしても気になってしまう。

本作の中で、望月記者がハンズフリーのケータイに向かって大声で口喧嘩しているシーンが何度か出てきた。
最初は誰と喧嘩してるのかとおもっていたら、しだいに喧嘩相手が社内の上司や同僚たちであることが分かってくる。
官邸記者会見で官房長官や質問を妨害する担当官と喧嘩するより、社内で喧嘩することのほうが疲れて消耗するはずだ。
しかし、社内で喧嘩できなければ、社外(=記者会見の場)で喧嘩(=追及)はできないだろう。
彼女と他の記者たちとの差はここかな。

最後まで興味深く見たが、アニメーションのシーンには違和感をおぼえた。
願望なのか、あるいは茶化すことによっての照れ隠しなのかよく分からないが、必要ないとおもった。
いっぽう、ラストに登場する坊主頭の女性の写真に被せて森監督が語る、正義の危うさへの警鐘は一聴に値した。



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