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2024年02月25日23:00

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映画日記『網走番外地 吹雪の斗争』

2024年2月25日(日)

『網走番外地 吹雪の斗争』(1967)
監督:石井輝雄
アマゾンプライム

敗戦直後の網走刑務所、主人公の橘真一は横暴な牢名主や刑務官をとっちめたため、懲罰房に閉じ込められてしまう。
その懲罰房で、ロシア人のマルコフと出会い、彼のおかげで脱獄に成功した。
逃亡のはてにたどり着いたノシャップで、橘はかつての恋人と再会する。
しかし、彼女はうさん臭い実業家の妻におさまっていた。
そして、彼女が身にまとう高価なダイヤの首飾りを荒くれ男たちが狙っていた・・・・

昨年の11月から少しずつ見続けてきた石井輝男版『網走番外地』シリーズの第10弾にして、最後の1本。
初見かとおもったら、一度見ていた。
とはいえ、おおかた忘れていたので、初見みたいなもの。
再見して驚いたことに、本作には嵐寛の鬼寅親分や由利徹に田中邦衛といったお馴染みのメンバーがひとりも出てこない。
脱獄、ダイヤの争奪戦に復讐と、どことなくデュマの「巌窟王」みたいなストーリー展開で、これまでの番外地シリーズとはまったく肌合いが違っている。
シリーズといっても、番外地シリーズの、いわば番外編。
その冒険奇譚な雰囲気を楽しんだ。

ところで、本作は『〜吹雪の斗争』というタイトル通り、クライマックスが雪原でのアクションシーンだった。
そこで驚いたのだが、正月映画として本作が公開されたのが1967年12月23日だったこと。
北海道に雪が降り、ある程度積もるのは、10月ではいくらなんでも早過ぎる。
ネットの記事によると、積雪になるのは早いところで11月頃のようだ。
仮に11月中旬に本作のクライマックスシーンが撮られたとする、封切りまで1ヶ月しかない。映画作りには素人だが、どうみても綱渡りだろう。
前作『網走番外地 悪への挑戦』の公開日が1967年8月12日だった。お盆映画だ。
そして『〜悪への挑戦』の終盤に博多の祇園山笠が登場する。
ネットによると映画に登場する祇園山笠のクライマックスは、例年7月11日〜15日に行われるとある。こちらも綱渡りだったことがうかがえる。
書き入れ時のお盆映画と正月映画に穴を空けることはできない。
石井監督にかかった重圧は、並大抵ではなかったはずだ。
その後、石井監督はヤクザ映画を1本はさんで、『徳川女系図』(1968)を皮切りに“異常性愛路線”が始まることになる。



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