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2025年11月15日13:10

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ビリディアナ 覚え書き


☆『ビリディアナ』(Viridiana 1961:ルイス・ブニュエル) 覚え書き
 *購入したので観る。前回観たときはブニュエルゆえにエッチなのだろうと思って観てみると、なんだ、普通にクラシック映画ではないか、と肩透かしをくらった記憶であるが、今回はとてもHに感じられる(君たち男子女子諸氏が想像するようなAVもののようなHではない)。だと言って、初盤の主人公ビリディアナが揉む、、、失礼、絞る牛の乳頭、、失礼、乳房、、、失礼、乳の先が立っていたからエッチなのだというわけではない。
 *ブニュエルのフランス映画時代の盟友フェルナンド・レイは本作がブニュエルとの最初の作品なのかな。善かれ悪しかれの顛末と分かれてもレイが出ているブニュエル作品は老男性の想像/妄想の顛末が表さられているではなかろうか。亡くなる前の彼はビリディアナを悲しませたことへの後悔の表情ではなくなにか企む風情でラストレターを書こうとしている。ニヤけても見える。たぶん彼のたくらみは成就されるだろう。サーカスティックな老ブニュエルの企みもそこにはあるのかもしれない、でもそれは別のハナシ。老とはいってもブニュエルまだ61歳、円熟期の始まり始まりなのだろう。
 *足フェチぶりが大放出である。『黄金時代』の狂気が本作で大復活なのではなかろうか。『昇天峠』や『幻影は市電に乗って旅をする』などは夢空間シュールレアリスムあっても牧歌的であり『エル』や『アルチバルド・デラクルスの犯罪的人生』はサスペンスに娯楽タッチであり、メキシコ時代の作品は網羅してるわけではないけれど、概して大衆を愉しませるプログラム・ピクチャーな感じなのではなかろうか。アンチ宗教&政治を伴う直感型はは『黄金時代』の狂気の回帰であり、本作品からブニュエルのシュールレアリスム復活が大胆に行われるのではなかろうか。
 *フェルナンド・レイの息子(演じるアクターはブニュエルは『ナサリン』の無垢すぎて被害こうむりまくる主人公を体現化したフランシスコ・ラバル・バレラであるが、本作品ではまったく正反対に俗の塊りのような人物を演じている)が宗教がビリディアナを腐らせたと言うが、彼女のチャリティは屋敷をさらに腐らせる。でも、ブニュエル的には生気を与えるということになるのだろうか。ビリディアナがチャリティを施す貧しき人々は、ヒューマン映画によく描かれるような貧しいけれど黄金のハートを持っている、ということはなく、卑しいハートの持ち主たちである。も、それがヒューマンというもの、庶民性、いや、市民性というものであるとブニュエルは彼らのひっちゃかめっちゃかの祝祭、謳っているのかもしれない。
 *屋敷敷地の工事と貧しい人々が在る素朴な風景がインターカットで表されるが、対比のように表されながらも地続きの不道徳、或いは人間というものがそこには表されているのだろう。人間であること、そこには変わることなく在る不毛、不条理、不幸、福運、そして富貴天が表される。
 *ダヴィンチは最後の晩餐をパロッたかのような乞食たちの晩餐、オーディエンスの記憶にも残るかのような、シャッターチャンスの演出。市民はブルジョワと違い、どっこい生きる。永遠の晩餐となるにちがいないだろう。
*ラストの彼女、ドン・ハイメの息子がラモナとそこにいても、なんで貴方が?と動じることもなくシルビア・ピナルの印象的な大きな眼はむしろ、ドキドキワクワク、まではないにしてもハラハラドキドキのなにかこれからの期待に胸をはずましている様子も指し示す。ドン・ハイメの企みの成就がそこにはあるのかもしれない。世の中を腐らせてしまう宗教に向けた復讐。ブニュエルらしい。
 *カンヌ映画祭、というかヨーロッパ、懐が深いな。こんなカソリックをコケにした作品に最高賞とは。文化は権威と別の場所にあるのである。ブニュエルがウン十年ぶりに映画を製作した故郷スペインは本作品をカンカンに怒り上映禁止をしたとのこと。パンクの先駆者ブニュエルの名誉ではある。




 *P.S. 訂正も重ね /   「ラストの彼女、女中のラモナがドン・ハイメの息子とそこにいても、なんで貴方が?と動じることもなく」と訂正。女中とブルジョワ聖女の境の消失はブニュエルはその後の『小間使の日記』にも通じるところある。当時においてまだ階級意識が蔓延るヨーロッパにおいて、ブニュエルのサーカスティックな企図は本作品においてもありえるかもしれない。ドン・ハイメの意図したものはそこでは超えられているだろう。





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