☆ローラ(原題:Lola 1961)
*本作は初見。
*『ロバと王女』や『ハメルンの笛吹き』だけではなく、ドゥミのテクストほとんどが説話的・童話的なのかもしれない。なにかの本に書いてあったが、離れ離れになってしまった愛する人が、ヒロインが苦境にみまわれた最終盤に金持ちになって帰ってきて、ヒロインは救われる、という筋立ては中世からのヨーロッパにおけるあらゆる物語や劇では定番らしく、本作品もその定石通りとなる。ドゥミは昔からあるパターンをそのまま踏襲というよりかは、使うことにより、現代の街風景がヌーヴェルヴァーグらしくすっかり写し取られながらも、作品が説話・童話であることをしっかりと語られ現代のおとぎ話であること語られしおん。そこにはヌーヴェルヴァーグらしくメタ物語性としてストラクチャーの解析や透明性を表さんとするところありながらも、夢を届ける、というドゥミのロマンティシズムがしっかりと表されているのではなかろうか。
*舞台になるナントはやはりヨーロッパ、20時ぐらいでも夏時間あんなに明るいんだな。ジャンピエールメルヴィルが本作品のことを真珠だと語ったことは作品を通じての、この明るさのことでもあるのかな。陽気だけれどホントは哀しげあるローラの心情もなにかそこには反映されているように思える。なにかフェリーニはカビリアにも通じるキャラ像がある。相手男性の夢見がちな性格、そして彼女の現実にしっかり立脚しなければならぬとも女性ならではな夢見がちな乙女心、それらがフワフワと、されど熱く光る街の景色にしっかり刻印される。
*あらすじよりも映像のスペクタクル性やエクスペリメントが昨今は主軸になっているけれど、このようにプロットプロセスでも表していくこと逆に新鮮なり。二日ぐらいかな?数日の展開に表されるものは男女のすれ違いだけではなく、(踊る大紐育に影響を受けているのかな)アメリカ兵の男性らしさに愉しむ休日、中年女性の哀愁、少女の恋、犯罪の匂いが醸し出すノワールなサスペンス、そして夢の成就と挫折と旅立ち、それがごちゃごちゃではなくスマートに気持ちよく整理されている。だからこそラストのふたりのすれ違うシーンがオーディエンスにスッと入るのであろう。
*ヌーヴェルヴァーグらしく、というよりも詩的レアリスムからあるシネマトグラフ(カメラ・テクニーク)使ってのスローモーション、水兵と少女の遊園地でのしなやかなジャンプ、いと素敵。オーディエンスであるこちらもココロ軽やかになる。水兵にとって小さな恋人は故郷の妹をリマインド、やがて水兵は街を出てシェルブールへ向かう。少女もダンサーになると言い残して街を離れ、母親は伯父だと言っている実の父親に会わせるわけにはいかないと旅立ち、夢見がちな男性主人公も街から離れることを決意する。出会いと別れが繰り返されるナントでのほんの数日間、ヒカリは白く淡くシネマトグラフを奏でていく。
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