☆ロシュフォールの恋人たち(原題:Les Demoiselles de Rochefort、英題:The Young Girls of Rochefort 1967)
*運命のいたずらが描かれながらも感情が人や感情そのものを引き寄せ切り拓く。すれ違いという刹那は運命であると同時に、その間(マ)には登場人物たちがお互いが引き寄せながらもそれぞれ切り拓くという実存的なモメントが表されているのである。
* あんな善良に見えるヒトが人を殺すわけがない。 → ごく普通の人でも感情によっては殺人を起こす。 → アルジェリア戦争
*現在の平和ボケが続く(特に日本)世界において、多くの人にとって戦争の記憶は希薄になり悪夢も強迫観念も見なくなっているのとは違い、アウシュビッツや原爆、そしてなにより第二次大戦の暗い影そのものをひきずっている当時においては、市民にとっては再び始めってもおかしくない戦争という恐怖が常に、国の再興・発展とともに側にあったのではないか。
*全編通じて歌づくし、セリフも唄うことによってであるシェルブールと違って、普通に喋るセリフもある。
*シェルブールの一組のカップルの運命物語を何組にも増やし- 双子の姉妹とその母親の3組に増幅しているだけではなく、チャッキリスたちや殺人犯のあの人にも表されているのかもしれない -万華鏡性を強度にしている。
*バスビー・バークレー或いはヴィンセント・ミネリのオマージュというよりも総体的にアーサー・フリードのオマージュであり、そしてその中でもアステアというよりもジーン・ケリー的なるもの、イースターパレードやバンドワゴンというよりも踊る大紐育や巴里のアメリカ人(ケリーは本作でも仏蘭西のアメリカ人である)、雨に唄えば、といった作品でのクレーン撮影やダンスの感覚が表されており。MGMのほとんど最終ミュージカルの輝きといえば1958年の恋の手ほどきであり、それから約10年後に、シェルブールでパルムドール獲得したドゥミはたいへん贅沢なる製作費でミュージカルを語らしおん。
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