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2025年07月12日11:50

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ハイパーリアルなロサンゼルス 3

    タランティーノとデヴィッドリンチ論その3


タランティーノとデヴィッドリンチはKissKissBangBangという映画創成期から初期ハリウッドにかけての伝統を継承する。KissKissというエロスとBangBang(拳銃の音)というヴァイオレンスをやっておけば映画館にはお客が入ってくるという傾向は、映画創成期の頃のニッケルオデオン(5セントの入場料のお安い、それゆえ大衆がこぞって観に入った映画館)の時代から行われていて、それは今日も続いているのである。でもって、KissKissBangBangという娯楽の形を結集させたのが、ある意味、その多くがLAなど西海岸でドラマが展開されることになる、フィルムノワールであろう。その作品の代表例が『マルタの鷹』 (1941年)、『深夜の告白』(1944年)、『郵便配達は二度ベルを鳴らす』(1946年)、『三つ数えろ』(1946年)、『ギルダ』(1946年)、『過去を逃れて』(1947年)、『アスファルト・ジャングル』(1950年)、『見知らぬ乗客』(1951年)。 フィルムノワールではファムファタールによる官能性や隠し持った拳銃によるガンプレイがオーディエンスを歓喜させる。そしてなにより、廃頽的に見えるそのアトモスフィアでニンゲンのエモーション‐情念‐の織り成しが映画というメディアにフィットして上手く表出されるのである。フィルムノワールはアメリカで1940年代から1950年代にかけて数多くつくられ、そしてその伝統は今日も続いている。ドイツ表現主義映画の先駆者であるフリッツ・ラングがアメリカはハリウッドに亡命して製作したこともフィルムノワールを息づかせる要因になったのかもしれない。フィルムノワールはドイツ表現主義映画だけでなく、アベル・ガンスやルイ・デュリュックらフランス印象派やマルセル・カルネやジャン・ルノワールら詩的レアリスムなどの影響も受けているのではないかな、たしか。どちらにしても彼らフランス勢もまたそのスタイル、ドイツの表現主義映画に影響を受けていたのである。詩的レアリスムにおけるジャン・ギャバンが演じる主人公はだいたいが悲劇的なラストを遂げるけれど、そうしたところもフィルムノワールに影響を与えたに違いない。フィルムノワールのノワールはフランス語で黒を意味する。フランスの映画評論家が、現在フィルムノワールと呼ばれる当時のアメリカ映画たちを観て、「黒い映画」(或いは、暗い映画)すなわちフィルムノワールと呼んだのがフィルムノワールという名称の起点になったのではなかろうか、たしか。

その時代に形成されたフィルムノワールというスタイルは現在も続いている。

 
                そのうち、「その4」に続く。


私的におもしろいと思うLAを舞台にしたフィルムノワール10本

【順不同】  【タランティーノもデヴィッドリンチもその作品のほとんどがフィルムノワールだと思われるがその代表作だと思う1作品だけを選出】

 1 『パルプ・フィクション』(Pulp Fiction 1994年 クエンティン・タランティーノ作品)

 2 『マルホランド・ドライブ』(Mulholland Drive 2001年 デイヴィッド・リンチ作品)

 3 『L.A.コンフィデンシャル』(L.A. Confidential 1997年 カーティス・ハンソン作品)

 4 『ゲット・ショーティ』(Get Shorty 1995年 バリー・ソネンフェルド作品)

 5 『レポマン』(Repo Man 1984年 アレックス・コックス作品)

 6 『チャイナタウン』(Chinatown 1974年 ロマン・ポランスキー作品)

 7 『ドライヴ』 (Drive 2011年  ニコラス・ウィンディング・レフン作品) 【チャイナタウンと同様シリアスすぎるきらいがあり、ホントはダイナーなどポップカルチャー的なものも鮮やかな『ベイビー・ドライバー』(Baby Driver 2017年 エドガー・ライト作品)を入れたいのだけれど、残念ながら舞台はジョージア州アトランタ。それに、いくら私的な好みとはいえ、フィルムノワールと銘打っておいてチャイナタウンとドライヴを入れなかったらコンテンポラリー・フィルムノワール選出において疑問が呈される】

 8 『ビッグ・リボウスキ』(The Big Lebowski 1998年 コーエン兄弟作品)【私的な好みとしては、ゲット・ショーティもだけれど、本作品のようなコメディ要素が入ったフィルムノワールが好み。コーエン兄弟の作品もまたタランティーノやデヴィッドリンチと同様にフィルムノワールが本作以外にもたくさんある。】

 9 『めまい』(Vertigo 1958年 アルフレッド・ヒッチコック作品) ただし舞台はLAではなくサンフランシスコ。

 10 『サンセット大通り』( Sunset Blvd. 1950年 ビリー・ワイルダー作品)

                よかったら観てみてねー♬




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