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2025年07月03日15:31

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リアリズムの宿


  こちらはレンタル、ヤマノブによるガロ系漫画が原作の映像化。リアリズムの宿おもしろかった。オーディエンスをスピードとキラキラと奇々怪々で巻き込む弥次喜多に比すると本作は余白がある分、こちらでは能動的想像を潜り込ませることができ、そうしたセンスの方が私的にはカムフォタブル。とは言っても、本作は2〜3回数観ているけれど、最初に観たときは眠りに合間合間たびたびおちたものである。今回はけっこう愉しめて観れる、となる。そしてたぶん観るたびに気づくのだろうけれど、でも観ていないときは忘れてしまうのだろうけれど、だから耳に今回も新鮮に飛び込んでくるのだろうけれど、くるりのサウンド、エンディングのみならず劇中でのそれも、とてもヨイ!
  こちらも弥次喜多と同じようなふたり連れの旅もの。同じ町の中で宿を変えていくようなロードムーヴィーではあるが。シュールレアリズムを意識し取り入れているとは思えないが(ひょっとして、つげ義春原作の方がそうなのだろうか)自動筆記のように知らない場所へと自らをいざなう二人組の旅ものである。
  冒頭からヤマノブらしく、テンションが表される。なにか、いつふたりが殴り合いしてもおかしくないような、でもそこはかとないテンションが旅全体にある。それはなんとなくジャームッシュにも思い出させるものがある。アラウンド2000年の作品であるが、雰囲気は昭和ダイナスティ。つげ義春原作に近づけているのか、主人公たちが旅する町にはATMマシーンもないようである。
  夢か現かにいるような感覚は、たぶんつげも持ち合わせているとは思うが、それはヤマノブのテクストにおいてけっこう毛だらけ顕著にあるものである。映画監督と脚本家、夢か現かのトポスにいるセンス持つ人物としては設定に適任である。夢か現か、だけではなく、此岸と彼岸の間にある世界での浮遊感、それもまたヤマノブにいつも感じらるもの。カメラアイで写し取られるものはリアル、そして夢か現かをさまようふたりの想像・思考の彷徨もまたリアル。客観と主体は一致する。主人公たちが出会うミューズは尾野真千子。彼女はまだ童顔な感じで丸い顔立ち、かわいかったな。東京住んでるとこどこ?と聴かれ、即座に、原宿って応えるのは笑える。
  幻想的でありながらも客観的にはそのカメラアイのなかとてもリアルな旅の風景、テンションはありながらもオフビートな旅は笑わせ、そして和ませさえもする。ひなびた宿で川魚でカモられウィスキー勝手に飲まれ、それに、リンダリンダリンダではゴジラの手などヤマノブではよくある異物の混入、今回は浜辺で拾うブラジャー、そしてミューズとの出会い、3人のコイバナな旅、そして失踪、金はなく知らない不審者からの親和な誘いを受け知らないヒトのお宅へ、そこを抜け出しきちゃない宿へ。そんなこんなな旅も最後には笑い合う主人公たち、友情の成立。最終盤はリアリティにいる彼女と出会う。ホントの姿に再会するがゆえ、主人公ふたりはリアルに戻ることはないまま、この幻想の旅を続けてゆく。我々はいつも夢想に在る。
  夢か現か、或いは此岸と彼岸の間にある世界での浮遊感、それは夢想でありながらリアルとして我々のなかに在る。幻想の旅は此処にある。




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