ハード・コアを購入したので観る。おもしろかった。阪本のような死の影が醸し出すノワールは山下敦弘にはなく、辛さは現世にのみ表される。現世にいながらにして現世離れしている主人公ばかりが山下敦弘テクストには蔓延されるが、冬薔薇や凪待ちの愛されないヘタレ(でもこちらの方が現実味があるヘタレだろう)と違って愛されるヘタレである。だいたいにおいて、主人公が確信ないし核心を得るまでが表されるが本作においての核心、それは愛であろう。世間に相手にされないのか、それとも世間と距離を置いているのだろうか、どちらにしても世間離れしている山田孝之によって肉体化された右近であるが、世間に埋もれながらも自己主張しているエスタブリッシュショットの雑踏のなか歩む右近、それからの松たか子と出会うバーのシークエンス、世間を疎んでいながらも執着があるのかな、と私的に感じるも、石橋けいとの出会いや弟が死んだ、抱いて欲しいと言うとこんど3Pやろうと返され愕然とするところやラストで、愛を求めているのか、と理解する。理想を追っていると言いながらそれがなにかが分からなかったり、総帥をリスペクトとしながらも金に向けた煩悩を素直に表したり等の人間らしさを表していたりとおもしろい。阪本の顔と同じようにガロ系の漫画のようでありながら、ファンタジーしているところもまた美味しい。山田にすぐるに良々に首くくりにすおん、と、まさにその人物になりきっているキャストも美味しい。山田を筆頭にして人生を唱和する。人生とは哀しさであり、それゆえアングルには可笑しさ表し、全体的に優しさ露わるところがコミックジェネレーションとは違い昭和している。
ログインしてコメントを確認・投稿する