ゲット・ショーティおもしろかった。本作とLAコンフィデンシャルをLA熱が燃え盛りエリサラム事件への感心が鰻登りがゆえタランティーノデイヴィッドリンチと並びて購入(アウトオブサイトは購入までしたくなないので未購入)。本作はやはりオープニングクレディットまでの流れがカッコよくもあり可笑しくもありでやはりやはりよい。ジョンルーリーの音楽がよい。出だしからとても軽妙、そのテンポはラストまで続く。展開も粋なタッチ。スパイクジョーンズ/チャーリーカウフマンはアダプテーションと同じように主人公たちがこれから書くシナリオが出来事として表される。やはり出てくる全ての登場人物たちのアンサンブルが光るのが本作品。トラボルタはハードボイルドだけではなくチャーミングでもある。冒頭の窓の外(のシアター)を見るのは夢見る少年であり、ここにはないどこかに行きたい。リンドーはハリウッドに住んでいるのなら映画は製作したいと思うも映画はそこそこ知っていても、ヴァラエティ紙を読むこの悪役は映画の表面だけにワクワクし脚本に対する想いはいい加減(註1)。対し、主人公チリパーマーは映画が心底から好きでそれに対して少年のような夢を見る。レネルッソはディートリッヒクロフォードスワンソンのBムーヴィー・サイドを反映するように堂々とした貫禄と美しさ、そしてスクリームの女王を体現する。ダニーデヴィートは自身とデニーロとパチーノとハリウッド全般スターをパロディ化、軽やかに演じてみせる。メキシカン麻薬王のサンドバルも後にソプラノズのボスに昇進するガンドルフィーニも演じるキャラにハマっている。皆がみな、ハリウッドの住人観があり、街のヒカリと雰囲気にフィットする。ハリウッド愛がある。外の住人であってもUFJでジョーズに会うことを楽しみにしているサンドバルと違って、ファリーナは映画にもLAにも全く関心がない。コメディとタフが同居するファリーナはユニークにおもしろい。でもファンタジーランドの住人からは理解不可能。リンドーと同様、脇で光り本作そのものを光らせる。そしてハックマン。本作でエリサラム事件なみの人間の不思議さを表すのは彼なのではなかろうか。とはいっても、そのコンプレキシティ、キャラが分かりやすいようにシンプルに描かれるハリウッド映画内の住人たちと違い、人間だれしもが持ちあわせるコンプレキシティ。思えばハックマン、演劇学校時代に授業で役を演じていても講師から君は演技をしていない、と注意されるぐらいオールウェイズ自然であり、よって、ポパイやポセイドンアドヴェンチャー、カンヴァセーションといった主演した作品のみならず脇に回るファームやアンフォーギヴン、ロイヤルテネンバウムズにおいても、そうした人間の複雑さをシンプルに表現してみせる。怪優である。そんな皆のアンサンブルが素敵である。ゲット・ショーティは映画愛、というよりもハリウッド愛、それを素直に表している(アメリカ映画ゆえアイロニーは自ずと表されるが)、ハードボイルドだけれどユーモラス、フィルムノワールだけれどヒカリに満ちている。業界人たちが摂るゴージャスなモーニングもスターマップスな邸宅街も今回は関心が向く。こんどハリウッド観光をするときにはスターマップス携えタランティーノ宅とデイヴィッドリンチ宅のピンポン鳴らしてみようか。
註1 タランティーノが本作出演を断ろうとしていたトラボルタを出るように諭したのは、主人公の映画マニアぶりだけではなく脚本の大切さを表す表現がホンにはあったからではなかろうか。エルモアレナードという理由もあるからかもがあるかもしれないが。
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